くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」「今夜、世界からこの恋が消えても」

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」

B級映画超大作という空気感で、都合よく展開する安直なストーリーですが、見せ場の連続で二時間半飽きさせないよくできた娯楽映画でした。とにかく面白かった。監督はコリン・トレボロウ。

 

恐竜被害のニュースが描かれて、現代のさまざまな問題の舞台が描写されて映画は始まる。恐竜たちが世界中に解き放たれ、その恐竜の保護活動を続けるオーウェンとクレアは、ロックウッドの亡き娘から作られたクローンの少女メイジーを守りながら暮らしている。しかし、DNA研究をするバイオシン社はそのDNAの秘密を知るためにメイジーと恐竜ブルーの子供を狙っていた。そして、とうとうメイジーとブルーの子供ベータが誘拐されてしまう。目の前で連れ去られるのを見たオーウェンとクレアは後を追う。

 

そんな頃、遺伝操作のミスで巨大化したイナゴが農作物を襲う事件が相次いでいた。その調査のためにエリー博士は旧友のグラント博士を誘い、その人脈でバイオシン社に勤めるマルコム博士の力を借りてバイオシン社へ潜入することにする。

 

バイオシン社では、DNAの操作による莫大な利潤を得るべく研究を重ね、メイジーとベータのDNAサンプルが必要だった。しかし研究の過程でできてしまったイナゴを一気に撲滅させるためにも利用できることがわかっていた。

 

グラント博士とエリー博士は、マルコム博士の手助けで、バイオシン社に潜入してイナゴのDNAサンプルを手に入れる。そんな頃、メイジーとベータを取り戻すべくバイオシン社にやってきたオーウェンとクレアはバイオシン社中央部に到達しようとするが、事故によって恐竜が解き放たれる。脱出するべく画策するグラント博士らはオーウェンと出会い、やがて全員でオーウェン社からの脱出のために奔走する。そして、さまざまなトラブルをくぐり抜けて無事脱出、全てハッピーエンドとなって映画は終わり。とにかく全体が実に甘い。

 

都合よく展開するストーリーはかなり雑ですし、なんの中身もないと言えばそれまでですが、見せ場が次々と出てきてとにかく面白い。CGによる恐竜の映像は今更なんの目新しさもないのでその意味では凡作かもしれませんがエンタメ映画としては相当に楽しかった。

 

「今夜、この世界からこの恋が消えても」

終始キュンキュンとして見ていられるのですが、ちょっと間伸びした脚本で、次第にテンポの悪さがダラダラに変わっていく終盤が勿体無い映画でした。ちょっと、キレがなかったという感じです。監督は三木孝浩、脚本は月川翔

 

暗転の中急ブレーキの音、明転して一人の少女日野真織がベッドで目を覚ます。傍には、さまざまなメモが貼ってあり、まずパソコンの日記を読めと書かれている。彼女は前行性健忘症という交通事故の後遺症で、眠ると昨日の記憶が消えてしまう病気になっていた。

 

そんな彼女はある日学校で一人の青年神谷透に告白される。しかしそれは、神谷の友達下川がいじめられているのをやめさせるためにいじめっ子らにつけられた条件だった。しかし真織はその告白を受け入れる。疑似告白だという透に、真織は三つの条件をつけて疑似恋人になろうと提案する。こうして真織と透は付き合い始めるが、真織の病気を知るのは親友の泉だけだった。

 

物語は真織と透の交際の日々を描くと共に、透の、小説家志望ながら目が出ない父の姿、姉で芥川賞を取るほどの人気作家となっていく早苗の物語などを絡めていくが、この流れが実に中途半端。真織と透の幸せな日々は続くが、ある時、透は泉に、自分は心臓が悪く、緊急で検査を受けることになった、もし自分に何かあればとある頼みを告白する。

 

まもなくして、透は急死してしまう。日記の中で透の死を毎朝思い出す真織は次第に精神的におい詰められていく。実は泉は透に、もし自分に何かあったら、真織の日記から自分のことを削除してほしいと頼んでいた。泉は真織の両親や早苗と協力し、真織の日記や携帯から透のことを削除していく。

 

時が経ち、元々絵が好きだった真織は美大を目指すことにし、日々自宅で、なぜか手元にたくさん残っている一人の男性のスケッチをもとに絵を描いていた。そこへ泉が訪れ、これまでのことを謝る。そして、立ち直った真織は泉に礼を言う。真織の健忘症の病気は徐々に回復していた。しかし、回復の中、透の面影は思い出せないのだと早苗にいう。早苗は前に向いて進んでほしいと答える。こうして映画は終わる。

 

100分くらいの長さでまとめるべき内容のドラマで、後半から終盤にかけてのテンポが実に悪い。脚本の弱さが露呈したのか、原作の弱さかわかりませんが、ちょっと残念な一本でした。