「宇宙人のあいつ」
こう言う馬鹿馬鹿しい映画大好きなので結構楽しめました。決してよくできた映画ではないけれど、ボケとツッコミ、あり得ない展開、なんでもありの遊びまくり、それでいて脇役キャラクター登場が適当、穴だらけの映画ですが肩の凝らない映画だった。監督は飯塚健。
焼肉サナダの屋根から何やらロケットのようなものが飛び出し、この店を切り盛りしている夢二、詩文、想乃らが飛び出して来る。この日、次男の日出男が土星に帰ったと言うナレーションの後、時は一ヶ月前に戻る。焼肉サナダを経営する長男の夢二、次男でガソリンスタンドで働く詩文、リサイクル会社で働く想乃、そして次男の日出男の四人はいつものように朝食を食べている。この朝夢二は重大発表する予定だった。それは日出男が実は土星人で、土星時間1年、地球時間23年の探査任務が終わったので間も無く帰ると言う事だった。そもそも、土星人ということに驚く詩文と想乃。ボケとツッコミの後、それなりに受け入れ、一ヶ月後に迫った帰還の日までの物語が始まる。
想乃には、神社の息子の彼氏がいたが、いかにもつまらないやつで辟易している。詩文のスタンドに、学生時代悪口を言ったクラスメートが高級車に乗ってやってきて学生時代のことをやり返し、嫌がらせを始める。時々登場するジャガイモを想乃が蹴飛ばすエピソードや、身重のうなぎのエピソードなどを絡め、日出男が詩文や想乃が困っている相手に超能力でやり返す流れを中心に進むが、今ひとつインパクトが弱くて、結局、悪ふざけの会話シーンだけを楽しむ展開となる。
想乃は妊娠していたが、相手に言うつもりもなく、別れて一人で生む決心をしていた。そんな想乃を夢二は応援すると誓う。詩文のクラスメートも日出男にやられて、実は清掃の仕事をしているだけの庶民だとわかる。しかし日出男は悩んでいた。地球へ来た任務とは、自分が派遣された家族の中から一人土星に連れ帰らないといけないのだった。それを破ると土星時間で10年、土星の輪の刑務所に閉じ込められるのだ。夢二は日出男と協力して自分をその連れていかれる家族に選ばれるようにして、別れの準備に入る。そして帰還の日、日出男は空中に上がった後、夢二を落として一人で帰ってしまう。冒頭のシーン。
想乃は赤ん坊を出産するが、生まれてきた赤ん坊は、日出男が去る時に言った合言葉をつぶやく。日出男は赤ん坊になって戻ってきた。こうして映画は終わる。
途中登場する脇役が全く機能していないし、肝心の宇宙人というサプライズが後半ほとんど機能しなくなって物語がやや平凡になってきたのはちょっと残念。でもこう言う馬鹿馬鹿しいお遊び映画は大好きなのでそれなりに楽しみました。