くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「パッチギ!」

井筒和幸監督の「パッチギ!」は「ロミオとジュリエット」だとどっかの本に書いてあったのを物語が終盤に近づくと思い出した。

朝鮮学校と日本の学校の学生同士の争いの中にお互いの学校の男女がいつしか恋に落ちる。しかもその女の子には兄貴がいる。
それぞれの諍いを背景に日本人の男の子(康介)が朝鮮学校の女の子(キョンジャ)への熱い思いを必死で伝える姿が純真で気持ちがいい。

彼女に聞かせるために練習した「イムジン河」を円山公園で聞かせるシーンが本当に良いなあ。
朝鮮の大人たちがギターの曲に涙して、一つの曲が日本と朝鮮を心でつないだシーンです。

そうして始まるほのかな二人の恋。
しかし、一人の朝鮮人の死でその葬式の席で朝鮮人の大人が日本人と自分たちの違いの過去を切々と語り、帰れと康介に言う。
一転して国と国の争いが再燃して二人の恋は突然、どろどろしたものになります。

でも、ラジオのスタジオで「イムジン河」を演奏する康介の姿、朝鮮の学生と日本の学生が鴨川の河原で対決する場面が重なり、ラジオから流れる「イムジン河」をキョンジャが大人たちに聞かせ、過去のことと自分たちのことは関係ないことを目で訴える場面がせつない。

そうしてラスト、誰も彼もがハッピーエンドになり、いつの間にか時が流れているのだということを見事に伝える場面は最高。
エンド曲「この素晴らしい愛をもう一度」が流れると涙がいつの間にか目を潤していました。

以前、この映画は鈴木清順の「けんかえれじい」だといったことがありますが、ちょっと違いましたね。似ているのは妙に老けた高校生たちがたくさん出ているところぐらいでした。

韓国ブームで押されたかに見えた日本映画界ですが、ここにきて去年以来どんどんその実力を再度示し始めたような気がします。
良い映画でした。
パッチギ!
サントラ ザ・フォーク・クルセダーズ