くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エール!」「俺物語!!」

kurawan2015-11-02

「エール!」
それほど期待してなかったけれど、かなりのいい映画でした。とにかくテンポが抜群にいいし、全編、リズム良い映像展開と、物語に、引き込まれてしまいます。
監督はエリック・ラルティゴです。

子牛が生まれる牛小屋から映画が始まる。主人公のポーラは酪農を営む農家の娘、ただこの家族、彼女以外、弟も両親も聾唖者で耳が聞こえない。一人彼女が、通訳として手話で周りの人々と会話をつないでいる。

子牛が生まれる場面から、軽快な音楽とともに、こちらに向かってくる牛の群れに混じって、ポーラがヘッドフォンをつけ颯爽と自転車で登場、このオープニングから一気に映画に引き込まれる。

学校では、コーラスのメンバー選定が行われていて、そこでポーラがメンバーに選ばれてしまう。一方で、村長選挙をまじかに控えるこの村、再選を狙う村長は農家のことを省みる気もない男で、それに腹を立て、ポーラの父は村長として立候補、その通訳としてポーラが急に多忙に。一方で学校のコーラスの先生が、ポーラの才能を認め、パリの学校を受験することを勧める。

こうして本編が展開。しかし、子離れができない母は、ことあるごとにポーラと対立、戸惑う父もどっちともない態度でポーラに接する。

流れは、やがて理解した両親がポーラをパリに送り出すクライマックスへと流れるのはセオリー通りだが、冒頭で、ポーラの家族は耳が聞こえないので無神経にもの音を立てるのにポーラがうるさく感じる場面、クライマックスの学校のコーラスシーンで、ポーラの歌声が、やがて消え、両親には聞こえないという描写など音にこだわった演出が光る。

ストーリーの根幹はぶれないが、果たして村長立候補のエピソードが、弟のアレルギーという雑なエピソードで吹っ飛ばすのはちょっと脚本が荒い気がする。

ただ、映像のテンポが実にいいために、余計な雑念も、無駄に間延びする場面もなく、ストレートにラストを迎える作り方は見事なもの。いい映画でした、ラストは、ジンと涙が出てきました。秀作と評価してもいい良品でした。


俺物語!!
面白い話なのだが、脇役が弱いのか、もう一歩盛り上がりに欠ける普通の映画です。でも、こういうお話の展開は大好きだし、クライマックスへの持って生き方は、切ないしうるっときてしまいました。監督は河合勇人

ゴリラみたいにデカイ主人公の剛田猛男が、中学の卒業式で失恋するシーンから始まる。彼にはめちゃモテの親友砂川がいる。二人は揃って高校へ進むが、たまたま、通りでチンピラに絡まれている女子高生大和を助ける。一瞬で恋に落ちる大和だが、今まで親友の砂川はもてているのしか見たことがないので、てっきり砂川に惚れたのだと勘違いする。

こうして、勘違い劇がコミカルに進むのだが、どうもテンポが悪い。もっと笑いが出る場面なのに、ほとんど滑っているのは、演技の間が悪いのだろうか、演出が悪いのか、でも、それほどけなすほどの駄作でもない。

純愛ウルウルドラマなので、ひたすら胸キュンだけを抑えながら見る映画だ。

コミック原作だから、そのまま飛び出してきたという感じですね。クライマックスは、砂川の誕生日にようやく大和が好きだったのは剛田とわかり、ハッピーエンド。もうちょっとサプライズ感のある作り方でもよかったのだが、いや、今までの場面が全て大和が剛田のために作ってきたことなのだと、道筋をたどり、真相を知る畳み掛けは面白いのだが、リズムが良くないのだ。

とはいえ、そんなくそまじめに見る映画ではないのだから、この程度の出来栄えで面白ければいいのだと思う。うん、素直に楽しもう。そんな映画でした。