くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アビエイター」

アビエイター(スコア)

アカデミー賞で話題を振りまいた「アビエイター」を本日見てきました。
第一印象はまさに圧倒しました。
三時間弱もある作品なのに充実した内容と展開で全く無駄がない。しかもレオナルド・ディカプリオの迫真の演技が画面から強烈に伝わってきて、見ている私たちまでがハワード・ヒューズの強烈なキャラクターに染まっていくようでした。

冒頭シーン、ハワード・ヒューズが愛用した石けん箱を開くところからタイトルバック、手短に終わるといきなり物語は少年時代、母に洗われているヒューズ氏の姿が映し出されそして一気にハワード・ヒューズが手がけた超大作「地獄の天使」撮影場面へと飛びます。

後はどんどんと彼の資産家としての姿を適格に具現化するとともに、時折彼の狂気的な性格をかいま見せて、ハワード・ヒューズの人間像を描いていきます。
そうした細やかな演出の背景に彼が次々と取りかかっていく映画、飛行機開発、女優の遍歴がつづられていきます。
その緻密な構成と手を抜かないマーティン・スコセッシ監督の細やかな演出が見るものを画面に引き込んでいくのです。

徐々に狂気に駆られていくハワード・ヒューズの姿、一方でさらに未来に向かって突き進んでいく前向きな姿、そして非凡な才能を見せる飛行機設計、その傍らで、世間の陰謀にその見事な才覚で切り抜けていく知力などが一瞬の無駄もなく、しかもくどすぎることもなく表現されていくのです。

この複雑なハワード・ヒューズの人間ドラマを見事に演じきっているのがレオナルド・ディカプリオ。まさにアカデミー賞に輝いてもおかしくないような演技、しかも映像の魔術師マーティン・スコセッシの演出も花を添えるように相互作用をもたらして作品の価値を増幅させていきます。

ラスト「The way in the future」(未来への道」とつぶやきながら物語はフェイドアウト・・・

常に前向きに突き進み、時代の一歩先を常に歩こうとした彼の業績は、確かに実を結んでいないものもあるかもしれませんが、その先鞭になったことはまちがいないと思います。
あまりにも先を進みすぎて周りからは誹謗の的になった彼の姿を見事に描いた傑作として、アカデミー賞に十分値する作品と思いました。