くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「神の左手悪魔の右手」

神の左手悪魔の右手

今、乗りに乗っている金子修介監督が、一体、いつ作ったのだろうと思うほどに突然公開された作品がこの「神の左手悪魔の右手」である。

なんせ、満を持して発表された「デスノート」が大ヒット中であり、まだその余韻も十分に残っている中で、この楳図かずお山の傑作コミックの映画版が公開された。しかも天六ユウラク座というかなりマイナーな劇場でである。

かなり期待していただけに、そうか、楳図かずお原作だったのだと気づくまで少し時間がかかってしまった。というのも、完璧なスプラッター映画だったからだ。

悪行を予知することが出来る少年を主人公に、夢の中で見た殺人鬼を助けるために奔走する姉の姿を中心に物語は展開する。
ひじょうな長回しとローアングルを多用し、思い切ったスプラッターシーンを何のためらいもなく見せつけてくる今回の金子修介、はっきり言って、特に驚くほどのカメラワークは見られない。

本来、那須博之監督の手で作られるはずだったのだが故人となったため、映画の始まりに那須博之に捧げるとテロップが出るところから、ちょっと意味のある作品なのだろう。
第一線で活躍する監督は時として、非商業的な作品を作るとかなり個性の爆発した作品になるのであるが、子の「神の左手悪魔の右手」にはそれほどのマニアックな映像展開はありませんでした。次々とかなりムリのある展開を交えながらかなりのスプラッターの連続に、やはり楳図かずおなのだと何度もなって串ながら見てしまいました。

いわゆる、金子修介監督作品を見たという満足感だけで劇場を出てきたのですが、クライマックスの「我の左手はすべての正しき物を生き返らせ、我の右手はすべての悪しきものをほろびさせん!」と大言上する聡少年の姿は一見の価値ある物であった。