くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「カメレオン」

カメレオン

探偵物語」や「処刑遊戯」など松田優作のB級アクション映画の傑作を書いた丸山昇一さんの脚本によるアクション「カメレオン」
主演は私も大好きな藤原竜也である。

そもそも、松田優作を意識して書いたというだけに、どことなく松田優作のイメージが残る。しかしながらそれは丸山昇一氏の脚本ゆえの個性なのかもしれません。
ぼさぼさ頭に濃いサングラス、皮のコートなど藤原竜也の姿は松田優作をイメージする。

そんなこんなの先入観はともかくも、無国籍と思われる背景をバックに、どろどろした日本の政治社会を交えつつ、エキゾチックな闇の組織の存在。
そんな暗い世界にいつの間にか足を踏み入れてしまう主人公達の姿は阪本順治監督のオリジナリティあふれる演出ともあいまって、独特のアクション映画として結実しています。

冒頭、いきなり路地の占い師に手を差し出す伍郎(藤原竜也)の手、しかもその手がラストで独特の伏線になっているという落ちに至るまで、全編、非常にシュールでもあります。

確かに大作とか、娯楽映画巨編とか言う言葉は当てはまりません。しかし、凝縮されたストーリー展開と、緻密で計算され尽くされた丸山昇一さんの個性的な名脚本には頭が下がります。

そして、そんな脚本を見事に演出していく阪本順治監督の手腕と、蜷川幸夫のもとで鍛え上げられた藤原竜也の演技が絶妙に絡み合って、見るたびに姿を変えるカメレオンのように豹変する主人公の行動をスクリーンに爆発させていきます。

しかも音楽のリズムテンポの使い方が実にうまい。
阪本順治監督は、以前からこうした音楽の効果音的な使い方がうまい監督ですが、この映画ではまさに映像にリズムを与えているという感じですね

難をいうと、さすがに藤原竜也は背が低い。松田優作ほど飛び抜けた背があれば、さらに引き立つでしょうし、さらに顔が美しすぎる。
そんな欠点を演技でカバーできる実力は十分もっているのですが、その点だけ、酷評点です。