くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「崖の上のポニョ」

kurawan2008-07-20

宮崎駿作品でなかったらおそらく行くことがないであろう「崖の上のポニョ」を見に行った。
先に見た友人の感想が今ひとつだったこともあるし、それほど期待もしていなかったので、まぁ気楽に見ることができました。

物語は人魚姫の物語を模したようであり、また一方で宮崎アニメ独特の家族の物語、人間関係の暖かさを歌った物語でもある。

一匹の金魚の女の子が、外の世界を見たくてくらげに乗って海の上に出てくる、そこでちょっとしたトラブルでビンの中に閉じ込められ、それを一人の男の子に見つけられる。

助けられた人魚の女の子はすっかりこの男の子が好きになるのですが、すぐにまた海へ連れ戻される。
どうしても人間になりたいその女の子は再び飛び出して、男のもとへ・・・

とまぁそんな物語である。
まぁ金魚が何で海にいるのかとかいう疑問点はさておき、このポニョの造形がなんとも愛らしくてかわいい。ジブリアニメの真骨頂である。一つ一つの動作にせよ、その動きの愛らしさにせよ、思わず手をさしのべてなでてしまいたくなる。

ほんの些細なしぐさの演出がなんともほほえましく、このあたりはほかのアニメ作家には到底まねができない。
そして、すばらしいシーンが、人間になって海の上を駆け巡り男の子を追いかける場面のすばらしさ。動きのスピーディさのなかにかわいらしい女の子の姿を映し出して、真っ黒な嵐の海をかけるポニョのシーンは圧巻。これぞナウシカなどにも見られた全盛期の宮崎アニメの「動き」のシーンである。
このシーンを見ただけで、この映画を見た甲斐があるというものだった。

とはいえ、ラスト三分の一が弱い。
ポニョの母親が現れ、一気にラストへのなだれ込む場面がなんとも脚本が甘い。このあたりのつめがさすがに弱くなってきているのが最近の宮崎アニメの欠点でもアル。
最後の最後まで、見せてくれた「カリオストロの城」や「風の谷のナウシカ」の頃の全盛期の脚本のすばらしさが、欠如されている。

このラスト部分で、完全に夏休みの子供向けアニメに成り下がってしまったことは残念ですが、前半部分だけでも十分に見ごたえのある作品だったと思います