くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「火天の城」

火天の城

織田信長がびわ湖畔に作った壮大な城安土城築城の物語である。

そもそも歴史大作というものが好きなので、それなりに楽しむことができました。壮大な建築物完成にまつわるさまざまなエピソードをフィクションを交え描いていく物語。非常にまじめに作っているために、どこといって取り上げるところはなく、いわゆる映画としえは凡作である。しっかりしたドラマであるかと思えば、とってつけたようなアクションシーンがクライマックスに付属し、果たしてこんなエピソードが必要なのか?と思った。

パンフレットの原作者の言葉の中にもこれにかかわるような言葉もあるので、おそらく原作にはなかったものかもしれない。原作者の解説の中にも、この映画の脚本に対して、素直に納得していないようにも見えるので、映画として作り直すに当たり、エンターテインメント製を持たせようとしたのでしょう。ただ、この一点の汚点をのぞけば、素直な歴史ドラマで、可もなく不可もない一本でした。

岡部又衛門という宮番匠(大工)のもとに織田信長が、築城の依頼をするところから物語が始まります。織田信長は私の尊敬し崇拝する歴史上の偉人であるので、映画化されるたびに注目するのですが、今回の椎名桔平の信長もなかなかどうして、堂に入っていた。主人公は宮番匠である。その周りに芸達者な俳優陣を配して物語に重みを加えるとともに、歴史を極力ゆがめないように、一方で、正確な資料のない安土城の物語をまことしやかに演出していく。

確かに2時間あまりの物語はかなりしんどい。まじめな展開すぎるためでもあるが、この物語を派手な娯楽で塗り固めたらかえって、質が落ちるでしょうね。

さまざまなエピソードを織り込んで、やがて壮大な城が完成するまでの物語。その後のことは一切触れず、完成をクライマックスに仕上げています。
途中のエピソードは、少々とってつけたようなところがないともいえませんが、作品のできばえのできばえはともかく、好みのジャンルの映画として十分に楽しめました