くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「BALLAD名もなき恋のうた」

BALLAD名もなき恋のうた

純粋に、映画っていいなぁと思える、楽しい娯楽映画に出会った気がします。

2002年アニメで、さまざまな賞に輝いた傑作「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」の実写版であり、時代劇大作である。
当初から、やや構えてみてしまった。それは完成度の高い作品を求めていたともいえます。時代劇といえばやはり黒澤明時代劇を思い起こしてしまうのです。だから、冒頭あたりは、やや物足りなかったと思えたのですが、しかしながら、そんなしち面倒くさい理屈などは吹っ飛んで、いつのまにか素直に物語を楽しんで、新垣結衣ちゃんの美しさ、かわいらしさにうっとりし、ラストシーンに泣いてしまいました。山崎貴監督の演出に注目したことも確かですが、いつの間にか単純にストーリーを楽しんでいました。

物語はタイムスリップものです。

主人公川上真一がふとしたことから戦国時代にタイムスリップ、そこでであった武士、又兵衛(草薙剛)と美しい廉姫(新垣結衣)との交流と、戦国絵巻の中に入り込んで大冒険をする物語である。
オリジナルを知る人は、いまさら物語を説明するまでもないが、アニメ版とは違って、やはり実写版になると独特のリアリティが加わるので、別の意味で演出の工夫が必要だったと思います。

そのあたり山崎貴監督は、セットとデジタル、そして最新カメラを使った絶妙の長廻しで、独特の映像を作り上げていきます。かつての日本時代劇といえば様式美の世界ですが、そのあたりはさすがに、別の意味の群集劇になっています。ある意味、モダンな感覚で作られた今風の時代劇といえるかもしれません。

そこに絡んでくるのが、タイムパラドックスが生む悲劇。何もかもが終わって、これでよかったと思われたあとで切ない感動を呼ぶ物語はオリジナル版の味を見事に再現できたというべきでしょうね。

アニメというのは、絵であるために、かなりの部分を観客の想像力が占めます。その分、物語が増幅されるというメリットもあるので、実写になったときには、目の前に生身の人間が映るためにかなりデメリットになることも否めませんが、そのあたり、すんなりと物語にのめりこめました。

純粋な楽しめる娯楽映画、本当に映画っていいものですね。そんな感想が素直に書ける映画でした。