「ブレイブ 群青戦記」
全く期待していなかったが、これがめちゃくちゃに良かった。物語の構成が実に上手いしスピーディ。脇役に主役級の役者を配して、主役以外をほとんど無名の役者を配したために、全体が引き締まりリアリティが出た。さらに、適当な殺陣を使わずにしっかりとした演出と、ややグロテスクなほどのリアリティが一気に物語に引き込む役割を果たした気がします。しかも所々に散りばめた御涙頂戴シーンも多すぎず長すぎず抜群の効果を生み出した。掘り出し物でした。監督は本広克行。
スポーツ名門校、時は一年前に遡る。中庭に巨大な神石があり、一人の天才不破という生徒が、落雷が神石に落ちるのと同時に屋上から飛び降りて光に吸い込まれる。そして物語は現代へ。
弓道部の蒼は幼馴染の遙と今日も練習をしていた。ところが突然雷鳴と悪天候が学校を襲い、気がつくと、大勢の野武士のような集団が現れ次々と生徒たちを襲い始める。殺される仲間を見ながら逃げ惑うが、さまざまなクラブのトップたちが次第に果敢に戦い始める。幼馴染で剣道部の考太も次々と野武士を倒していく。そこに現れたのが梁田と呼ばれる織田信長に仕える武将だった。梁田は数人の生徒を人質にしてその場をさる。続いて現れたのが松平元康の一団。元康は残る生徒を体育館に拉致してしまう。
時が戦国時代、桶狭間の戦い前夜と判断した歴史オタクの蒼は、元康と交渉して、信長に丸根砦を攻めるという奇策を提案し、その代わり自分たちの仲間を助け出しにいきたいと申し出る。元康は蒼たちに丸根砦への先陣を行うように命令して、取引に応じる。各クラブの精鋭を集めた考太を中心とする救出隊が組まれ丸ね砦の手前で準備する。ところが、信長の命令で考太たちが襲われ、考太はその戦いで死んでしまう。しかも遙が連れ去られてしまう。なかなか思い切れない蒼だったが、腹を括り集団をまとめることにする。
そんな頃、科学部の秀才たちは、神石に落雷が来る桶狭間の戦いの朝が再度現代に戻るチャンスだと判断し準備を進める。決行まで6時間が設定され、蒼たちは仲間を救出する時間は約二時間と決まる。そして、丸根砦に迫る蒼たちだったが、次々との仲間が倒れる中、人質が囚われているところへなんとかたどり着いた。しかし、最後の戦いで囲まれた蒼たちはピンチに。そこへ元康が駆けつける。しかし、戦いの中元康は死んでしまう。
そしてようやく人質の小屋に辿り着いたが、現れたんのは梁田になった不破だった。彼は現代に嫌気が刺し、戦国時代で歴史を変えて自分の思う通りの世の中にしようとしていた。蒼と不破の最後の戦いが始まる。一方救出された仲間は一路学校へと戻る。最後の最後、なんとか不破を倒した蒼は遙と共に学校へ戻ってくるが、蒼はこの時代に残り、死んだ元康に代わって歴史を戻すつもりと告げる。遙は葵に別れを告げる。そして、ついに落雷が神石に落ちる。
現代に戻った遙は、ネットニュースで、徳川家康の若き日の肖像画が新たに見つかったのをみる。それは蒼の姿だった。戦国時代では、信長の前に平伏す蒼こと徳川家康がいた。こうして映画は終わる。
とにかくテンポがいい。静のシーンも適度に処理してアクションシーンは丁寧に描いてダイナミックにこなす。少々ラストの元に戻る下りはあっさりしすぎるように思いますが、そこをさておいても全体に娯楽映画として十分な仕上がりになっていたと思います。面白かった。
「トムとジェリー」(実写版)
楽しかった。古き良きアメリカという感じでとっても面白いし、ラストは爽やかに感動してしまうし、そもそもシンプルな物語をしっかりエンタメに仕上げた感じが最高。お馴染みのキャラクターに、ほとんど台詞なしのパントマイムで見せるトムとジェリーの掛け合い、さらにクロエ・グレース・モレッツの屈託のない存在感、細かい小道具を一気にラストで披露する脚本の出来栄えの良さ。とにかく楽しかった。監督はティム・ストーリー。
相変わらずのトムとジェリーがドタバタしている場面から映画は始まる。なんでも配達をして自転車で走るケイラは、飛び出してきたトムにぶつかられて荷物をばら撒いてしまう。結果仕事をクビになるが、たまたま無料朝食を手に入れるため訪れたホテルで、臨時スタッフ募集に応募しに来ていた女性を言葉巧みに追い出してその履歴書でまんまとスタッフに採用される。仕事はまもなく開催されるセレブカップルの結婚式。
そんな頃、住処を探してホテルに入り込んだジェリーを追いかけてトムがホテルに飛び込んでくる。マネージャーの指示でケイラはネズミ退治を始める。そんなケイラはセレブカップルの新婦に気に入られ、マネージャーの信頼を重ね、たまたま新郎の飼い犬の散歩で大失敗したイベントマネージャーテレンスの代わりに結婚式を仕切ることになる。
ケイラはトムとジェリーを説き伏せて後ほどホテルに住ませることを条件に、結婚式当日のみホテルの外に行かせる。そして結婚式は盛大に始まる。新郎のアイデアで象を呼び、虎を呼び、仰々しいほどに演出することに新婦は少々嫌気がさしていた。そんな頃、イベントマネージャーをクビになったテレンスは逆恨みして結婚式をぶち壊すため、たまたま動物愛護局に捕まったトムとジェリーを拐かして結婚式に潜入させ、大暴れさせ、結婚式を台無しにする。ケイラは、嘘の履歴のことを話しホテルを後にし、新婦は、これを機会に結婚を取りやめると告げる。そんな姿を見たトムとジェリーは猛反省、そしてケイラを説き伏せて、なんとか二人の仲を取り持つべく、計画することにする。
場所はセントラルパーク、式場準備と招待者を呼び戻すケイラたちの一方で、空港へ向かう新婦をトムとジェリーが、Wi-Fi付きのスケボーと軍用のドローンで追いかける。この道具は新郎が冒頭で買ったおもちゃだった。この小道具の使い方が実に上手い。
そして、会場に戻った新婦は、シンプルな結婚式で迎えてくれる新郎と抱き合いハッピーエンド。出てきたキャラクターが勢揃いしても物語は終わる。そしてトムとジェリーは、相変わらずのドタバタを始めてエンディング。まあ楽しかった。古きアメリカンテイスト満載の映画でした。