韓国の映画はどうも苦手なのですが、カンヌ映画祭主演女優賞を取ったチョン・ドヨンの演技をみたくてこの作品を見に行きました。
題名の由来は舞台になる密陽という町からきています。
夫を交通事故でなくし一人息子と二人きりになった主人公シネが道で車が動かなくなり立ち往生している場面から始まります。空は真っ青で日差しが彼女に降り注いでいます。
そこへ駆けつけたのが修理工のキム(ソン・ガンホ)。一目惚れに近い形で彼女に惹かれたキムはことあるごとに彼女につきまとうようになります。一方でピアノ教室を開いて自立していこうとするシネの姿で物語はスタートしますが、突然一人息子が誘拐され、しかも殺されるという展開に。そしてこれがこの映画の物語の導入部なのですからなんとも悲しいですね。
やがて犯人は捕まるも心がいやされないシネは、執拗に進められるままにキリスト教の信仰を受け入れ、心が落ち着いてくるかに見えたところへ、刑務所へ犯人を訪ねたところ犯人から「私も神を信じるようになって罪を許された」という一言で再び失意のどん底へ。そして、自暴自棄に近い毎日を送るようになるのです。
彼女を必死で見守るキムの姿が、名優ソン・ガンホによって見事に演じられ、一方で狂気的になっていくシムを迫真の演技でチョン・ドヨンが対照的に円知ることでこの作品のストーリーは最後までしっかり引っ張られていきます。
映像にこった演出ではありませんが、時折持ち出される太陽の光に関するせりふや、時に空を見上げるシネの姿が、彼女の悲しみを和らげるために降り注がれる神の光を暗示し、この作品のテーマを物語ってくれます。
自殺未遂のようになった後、入院の後退院し、キムにつれられて自宅へ帰って髪を自分で切るところでいきなりエンディング。ちょっとわかりかねるラストで参りましたが、彼女の演技はすばらしかった。でもそれ以上には私の好みではない映画でした