くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「時をかける少女」

時をかける少女

時かけ」という新語まで生まれている大人気の原作、数年前のアニメ版は傑作と評され、私のような年代の人間にはNHKのテレビドラマ「タイムトラベラー」として思い出の、いや幻のSFラブストーリーとして、そして大林宣彦監督原田知世主演の名作として思い出の記憶に残る物語である。

そして今年、そのコンセプトを踏襲し、主人公芳山和子の娘を新ヒロインにした作品が登場。当然見にいかなざるをいえませんよね。

出だしは最高。渦を巻くビーカーの水、ガラス管をめぐるなぞの液体。そしてさくらんぼをシャーレにのせ、液体を浸し、そこへ蟻を乗せると一匹また一匹と消える。その不思議なシーンから一転、走る少女の脚。かける女子高生、そして懐かしいテーマ曲が’いきものがかり’の新バージョンで流れる。「時をかける少女」のタイトル。

このシーンに思わず引き込まれ、新ヒロイン芳山あかりのはちきれる元気に新たな感動の予感がしました。

物語は芳山和子が偶然手にした中学生時代の写真。そこにはなんと深町一男の姿が。消えていた記憶がよみがえり、そしてその彼に会うために発明した薬でタイムリープするつもりが、交通事故で動けなくなりその代わりに娘が1972年へ行くことになるというのが本筋。

しかし、何を間違えたか1974年にタイムリープしてしまい・・・

全編とにかく元気な新ヒロイン仲里依紗の底抜けの明るさに引っ張れれていく演出を目指したようだが、いまひとつはちきれ切れていないのはちょっと残念。しかしお相手の中尾明慶は好きな俳優さんなのでそこは欲目にストーリーを追いかけます。

全体にちょっと長すぎる感じで、もう少し思い切ったカットをしてもいいかと思いますが、「時かけ」ファンにはたまらない設定も随所に見られ、長さがしんどくない楽しめる一本でした。

秀逸はラストシーンのバス事故のエピソードが冒頭のテレビニュースからの伏線でしっかり効果を生み出すし、エンディングの病院で仲里依紗が深町一男とすれ違う場面は大林宣彦版のラストシーンに共通するというこだわりもあったりして、見所満載。学生時代の芳山和子は「タイムトラベラー」のときの芳山和子と同じロングヘアーになっているし(大林版の原田知世はショートですからね)、とにかくたまらないノスタルジーでした。

作品的には凡作ですが、それなりに練られた脚本に飽きないドラマになっていたと思います