くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「男性・女性」「女は女である」

男性女性

「男性・女性」
ジャン・リュック・ゴダール監督の青春映画の傑作、パリの若者たちの様子が淡々と描かれる即興演出の極みともいえる作品。
初めてみたのは30年近く前になるが、当沿もほとんど印象に残っていなかったところをみると、今回の印象と同じだろう。

ストーリーがあってないような内容で、ひたすら二人の会話が延々と続いたり、同じショットが繰り返されたりと、かなり退屈な場面も多々ある。しかも1966年当時のパリの若者たちの姿というのがテーマだけに、さすがに時代が50年近くたつと、ストーリーが把握できないほど若者たちの姿が古くさく見える。

であれば、カメラワークとか、構図とか、演出とかのおもしろさをみればいいが、ゴダールらしく、突然字幕が挿入されたり、突然射殺シーンがでたり、ナイフで突き刺すシーンがでたりとその場限りの演出が続く。これがオリジナリティといえばそうだがさすがにしんどいというのが印象である。

やはりゴダール映画は向かないのか?という感想でした。


「女は女である」
こちらもゴダールの映画であるが、こちらはなかなかおもしろかった。物語自体コメディであり、次々とさりげなく登場する名作映画の題名や、小品、しかもゴダール自身の演出の中にも過去の映画の様々な技法をふんだんに取り入れているようでけっこう見応えがあった。

出だしのタイトルはでかでかと題名、監督名、スタッフ、キャストなどが映し出される。そして物語が始まると、アンナ・カリーナ扮する主人公アンジェラがコミカルに語りかけるシーンが続き、同棲しているエミール(ジャン・クロード・ブリアリ)が登場。

ミッシェル・ルグランの軽快な音楽に乗せて、まるでミュージカルのごとくシーンが展開するかと思えば、フランス喜劇よろしく機関銃のような会話の応酬、さらにコマ落としのようなアメリカン喜劇のようなシーンまで登場、何でもありでどんどんとストーリーが展開していく。

物語は子供のほしいアンジェラがエミールに子供を作らせるように仕掛けていく様がコミカルに描かれるのであるが、そこにもう一人のボーイフレンドアルフレッド(ジャン・ポール・ベルモンド)が登場し、ストリーが華やかになっていく。
どうしても子供を作ろうとしないエミールにつかず離れず接していくアンジェラがなんともユニークで、この映画のポイントになっているのではないでしょうか。

全編とにかくハイテンポで陽気なので、時折挟み込まれる女性のフルヌードのショットなども全然いやらしくなく、かえって、作品に花を添える形になっている。
また衣装に真っ赤やブルー、イエローの原色を使ったヨーロッパ映画らしい演出も企て、全体が明るい作風になっているのも見やすいといえば見やすい。

結局、どたばたの末に、二人はベッドインで暗転、小気味よいラストシーンが好感の一本でした。