くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゴダール・ソシアリスム」

ゴダール・ソシアリスム

カンヌ映画祭で絶賛されたというジャン=リュック・ゴダールの最新作。はたしてこの作品を初めて見てなるほどすばらしいと理解できる人がいるのだろうかと思う。

物語といって特になく、登場人物も一貫して統一された人たちはいない。ひたすらデジタル処理された美しい画面と圧倒的なリズムで繰り返される音楽、そして挿入されるテロップ、さらに意味ありげなせりふの応酬で見せる映像詩なのである。

そこにはオリジナリティあふれるリズム感が存在し、並の感性では描き得ない作品が創造されていることは確かであるが、いかんせん、凡人である私には理解しきれない部分が多々ある。

映画が始まるとタイトルと登場人物などのテロップの後に美しい波が画面いっぱいに映し出され、映像は美しい豪華客船のデッキへ移る。
サイケデリックな色彩でとらえられた構図でこの作品の登場人物らしい女性アリッサや連れの老人などが描かれていくが、細切れにされた画面が次々とダンスシーンやホームムービーのようなピンぼけ画面なども挿入される。

さらにエジプト、オデッサバルセロナなどを巡っているのかそれぞれの町の様子、さらには第二次大戦のドキュメント映像、その上、「戦艦ポチョムキン」「ライムラト」などのクラシック映画のワンシーンなども挿入される。

そんな合間にとあるガソリンスタンドのシーン、そして園スタンドにいる人を取材するシーンなども展開していく。
つまり、ゴダールが感じるままにそして思いつつままに訴えていくゴダールらしい詩なのである。

チラシの解説に載せられている人物や演じている俳優の貴重な部分などは画面だけを見ているだけではとうてい理解できないのである。映像が映されている中で字幕と今のシーンの解説が同時に語られなければとても園おもしろさが伝わらないと思うのだが、どうしてあの画面を見ただけでその感想やコメントとしてあれだけのことを書けるのかは正直なところわかりません。

映像作品としては適当に作っているとはいいませんが、かなりの即興演出と感じるままに映像処理し編集していったという感じがひしひしと伝わってくる。そして、そんなゴダールらしいオリジナリティがたまらなく楽しくて仕方のない人も中にはいると思うけれども、私はこの作品はただ、話題作をみたというレベルで終わりました。