くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「8人の女たち」

8人の女たち

フランスの奇才フランソワ・オゾン監督作品。
雪深い豪邸に集まった家族が繰り広げるミステリーミュージカル。なんといってもカトリーヌ・ドヌーヴダニエル・ダリュー、エマニエル・ベアールなどフランスを代表する女優が一同に集まった豪華絢爛たる物語は圧巻。しかも、歌う、踊るシーンの素晴らしいこと。楽しいという一言につきるが、物語は家族の本当の心を試すために主人が娘の一人カトリーヌと仕掛けた芝居というなかなか深い家族ドラマなのです。

映画が始まると美しい花がアップになり順番に8つのキャストがクレジットされていきます。そして雪がしんしんと降るにわのシーンから一見の邸宅の中へ。後は舞台劇のごとくこの邸宅中でドラマが進んでいきます。

一人また一人と娘たちがこの家にクリスマスを祝うために集まってくる。ところが突然、メイドが二階で寝ているはずのこの家の主人がナイフを背中に刺されて殺されていると叫ぶ。
そして、犯人は集まった8人の女の中にいると推測した彼女たちはお互いを疑いながら、それぞれの本心を暴いていきます。

突然、歌い出したり、踊り出したりという突飛なミュージカルシーンを所々に挟み込みながら展開する家族のドラマは暗いようで妙に明るく、ある意味中途半端かも知れません。しかし、実は殺されたことが主人の茶番劇と真相が明らかになった後、絶望した主人がカトリーヌの前でピストル自殺するラストはショッキング。

緩急取り混ぜたストーリー展開と、次々と二転三転するそれぞれの人物の本当の姿、さらに小気味よいミュージカルナンバーが素晴らしく、ダンスのおもしろさに酔いしれる娯楽性も備え、とにかく楽しい。

ただ、今日は体調が悪かったのか、終始眠くて閉口しました。でも作品が退屈であったためではありません。本当に愉快な映画でした