くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゾンビランド」

ゾンビランド

評論家が絶賛、全米で口コミ大ヒットしたゾンビムービーということで、不安と期待の入り交じった作品をとうとう見てきました。
出だしからいきなり世界はゾンビによってほとんど壊滅状態。このあたりロメロ作品では常套の設定ですよね。
そして、タイトルが画面の至る所に挿入されながら、ゾンビが街を暴れる様子、それを自分が作り上げたルールで切り抜けていく主人公コロンバスの様子が自らのナレーションで語られていきます。

乗りに乗った映像づくりというイメージの演出がどんどんと物語の中へ私たちを引き込んでいきます。おきまりの内蔵を食べるシーンなどはいたしかたないとして、それ以外は意外に落ち着いた(?)ゾンビショットが続きますね。頭を吹っ飛ばしたりはあるものの、ロメロの作品のようなド派手な爆発はありません。このあたり冒頭のある程度の設定を説明した後はひたすらスピーディーでコミカルなアクションムービーで展開させていくのはなかなかおもしろいです。

引っ込み思案で、当然もてたこともない主人公コロンバスは、ゾンビから身を守るために次第にヒーロー的になり、やがて気の置けないおっさんタラハシーと友達にもなる、その上、彼女さえできようというのだから、かなりのブラック風刺が効いているといえます。
結局まともな世界では彼は生き残れないのかといわんばかりの監督の嘲笑さえもが、スピーディなコメディに生かされているあたりなかなかにんまりきますね。

途中で知り合ったリトルロックとウィチタの姉妹に良いようにだまされながら、次第に仲良く?ではなく結局だまされ続けて、最後の最後でやっとそれなりに落ち着くというこだわりはお気楽なB級映画的な乗りで楽しい。
見応えのあるのはクライマックスのパシフィックランドのシーン。電気をつけた(って世界中がゾンビで死に絶えてるのに誰が電気起こしてるの?)とたん、付近のゾンビが光を求めて集まってくる(ってなんで集まるの?)。
そこで最後のバトル戦、というか、そこへだまされ続けたコロンバスたちが駆けつけてくるのだから、物語は良いように都合がいい。
どこかファンタジックでさえあるこのシーンはルーベン・フライシャー監督の映像センスといえるものかも知れずこのあたりはこの人の感性を今後少し見守りたい気分になります。

それで、ド派手なゾンビ退治がまるでゲームのごとくバンバン始まって、すべて退治されて四人でくるまでいずこへと・・・
ブラックなコメディながら、モダンな映像センスとこだわらないストーリーテリングのあっさりさがこの映画の魅力でしょうね。ゾンビ映画嫌いも、最初さえ少し我慢すればあとはただのお気楽なアクションムービーですから楽しめる一本だと思います