くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「悶絶!!どんでん返し」

悶絶どんでん返し

ロマンポルノシナリオ募集で入選した作品の映画化。
何ともバイタリティあふれるエロティックコメディで、見応えのある秀作でした。
谷なおみがコミカルでコケティッシュな女を好演し、脇役ながら映画に味をもたせる役割を果たし、作品がなんとも楽しい一本に仕上がっています。

映画が始まると画面いっぱいに裸の女性が踊っている。そのピンクサロンで主人公北山俊男が接待され、そのままホステスの部屋へ。そこでホステスの愛人のヤクザ男に犯される。それ以来、男性に興味を持ってしまうこの男が主人公。
すっかりヤクザ男と恋仲になった主人公が愛人のホステスを女中のように使いながら、つつもたせで稼ぐこのヤクザ男の、ある意味いっぱしの親分になることを夢に描く姿とだぶらせながらストーリーが展開していきます。

ヤクザ男が雇っている中途半端な女子高生三人との掛け合いや主人公北山の婚約者である会社重役の娘とのからみが次々とコミカルに繰り返すさまが小気味よくて笑いが絶えない。背後にこてこての演歌が流れたり、歌声が挿入されたりと神代節が炸裂し、それがまた物語にユーモアをふくらませて作品に深みをもたらす効果が生まれて秀逸。

それぞれの登場人物が実に精力的にかつ生き生きと動き回り、時にベッドシーンを挟みながらもありそうでないような作り話が展開する様のおもしろさがこの映画の最大の魅力です。

ラスト、女になることに執着した北山がバストの形成手術をしたところへかつてのフィアンセの令嬢が北山を捜しにきたところと鉢合わせ、一方ヤクザ男、思わず踏み込まれた刑事を刺し殺してしまい、あわてて女と逃げようとするためにアパートへ戻ってくる。北山を邪険に捨て、女と一緒に逃げていく。せっかくの形成手術も甲斐無く一人の超された主人公北山が「恨み節」を歌いながらこちらにやってくるところのストップモーションで映画が終わる。タイトルバックに犬を散歩させ、舐めてもらうシーンを追加するというサービス満天の演出に拍手の一本でした。