くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シャレード」

シャレード

30年ぶりでしょうか、久しぶりに見た名作は記憶を遙かに上回りものすごい名作だったことに気がつきました。
映画が始まると列車が走ってきて一人の男性がその列車から投げ出される。そして、ヘンリー・マンシーニの名曲とともにイラストの繰り返しによるタイトルバック。全く、見事な出だしである。

そして物語がはじまると、スイスのスキー場、大金持ちの若い人妻レジーナ(オードリー・ヘップバーン)と友人、さらにはピーター(ケイリー・グラント)とのしゃれた会話の応酬のあとサスペンスフルな本編へとなだれ込んでいくストーリー展開はまさに傑作である。

冒頭で死んだのがレジーナの主人、そして自宅に帰るともぬけの殻で、どうやら25万ドルを持ち逃げしたレジーナの夫はその金をどこかに隠したらしい。次第にレジーナに不気味に近づく三人の男、じつはケイリー・グラントも仲間?という展開へ二転三転。

あとはもう、息つく暇もないほどに次々と展開するストーリーを必死で追いかけていくことになる。そしてその所々にちりばめられた軽妙かつ気の利いたせりふの数々が古き良き映画のすばらしさを実感させてくれます。
果たして真犯人は誰か?殺人を犯しているのは誰か?ケイリー・グラントが悪者であるはずはないがそれもまた疑問になってくる展開が秀逸そのもの。

そんな窮地に追い込まれていくレジーナがなんともおちついていて、冷静にコミカルに危機を乗り越えていく。この役柄はオードリー以外には考えられないと思う。それほどはまり役である。そして、次々と着替えていくジバンシーファッションの楽しみ。これが華やかなりし娯楽映画の真骨頂ですね。

ジェームズ・コバーンジョージ・ケネディ、ネット・グラスなど妖しい人物が次々と殺され、もしかしたらウォルター・マッソー扮する大使館の職員がおかしいと思ったときはすでに物語は終盤、まだ疑問のケイリー・グラントが最後の最後まで敵か味方変わらないままにラストシーンで一気に解決、気の利いた終わり方でエンディング。

THE ENDの文字のバックには様々な名前でオードリーを翻弄したケイリー・グラントのショットを写しながら終わっていくあたり、心憎いラストショットです。これが懐かしの名作の醍醐味ですね。本当に見直して良かったです。