くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ランゴ」

ランゴ

映画が始まってからエンドタイトルが終わるまで、とにかく音楽と歌、そしてアニメが抜群に楽しい。古き懐かしいマカロニウエスタンの世界が大人のCGアニメになって帰ってきたという感じの軽快な一本でした。

モーションキャプチャーといって俳優が直に演じた映像を3Dアニメーションにして再現しています。もちろん、主演のジョニー・デップほか名優たちが演技をしていますが、私たちがみるのはガリガリのお調子者のカメレオンやそのほか砂漠の生き物たち。そして、彼らが演じる物語はマカロニウエスタンの定番の宿場町に君臨する悪者の権力者とそれに立ち向かう流れ物の主人公のガンマン。そして周りに集まってくるお調子者のガンマンやら、長老やら。まさしく懐かしの西部劇の世界である。

メキシカンのテンガロンハットをかぶった四羽のフクロウがギター片手にウエスタン調の軽快な歌を歌い始めるところからメインタイトルが始まります。題名の「ランゴ」はマカロニウエスタンの名作「皆殺しのジャンゴ」にちなんだものでしょう。

テンポのいいアニメと音楽で幕を開けた物語は、ハイウェイを走る荷台に載った水槽の中で水からヒーローになって、魚のおもちゃやマネキンを物語を作っては酔いしれるお調子者のカメレオンが登場。ところが、ハイウエイでぶっ飛ばしてきた車との事故で荷台が傾きそのまま、砂漠の真ん中に投げ出されてしまう。

割れる水槽のガラス片にのったカメレオンのランゴがハイウエイを滑るファーストショットが実に見事。そして、カメレオンの視線でとらえる車の行き交うハイウェイやそこかしこに散らばるゴミのショットが不思議にファンタジックに見えます。

全く知らなかった外の世界に投げ出されたランゴは砂漠をさまよいながら、とある宿場町ダートタウンへ。そこでは亀の権力者が貴重な水を独り占めにして町を牛耳っている。ここでは水がなによりの宝物なのである。

持ち前の調子であることないことしゃべっているうちに名無しだった彼は名前も「ランゴ」と自ら名乗り、おそってきた天敵の鷹を運良くやっつけたった目に町の英雄に祭り上げられてしまう。こうしてランゴの冒険物語がスタート。

調子はいいが、おっちょこちょい、それでも正義感に燃える彼は仲間と一緒に町のために水を手に入れる旅にでる。ウエスタンの軽快な音楽とともに夕日を背景に失踪する馬(ではなくて鶏?)に乗るランゴたちの姿が美しい。

ハイウエイで投げ出されたときに出会った賢者のアルマジロに知識を借りながら、とうとう、水を得る手段を発見。それは丘の向こうに建設中の人間の都市、その運営のために水を止めるポンプが設置されていたために、ランゴたちの宿場に水が来なくなっていたのだ。

途中、モグラのならず者集団と戦ったり、亀の権力者がはなった毒蛇の殺し屋と一騎打ちしたりと、マカロニウエスタンをみていた頃に、どっかでみたようなシーンがふんだんにでてくる展開はもうわくわくのしっぱなし。流れるギターの曲が心地よくて、とてもカメレオンたちのCGアニメと思えなくなってくる。

そして、無事水を町に取り戻したランゴたち。めでたしめでたしで、四匹のフクロウが盛大に奏でるウエスタン調のランゴのテーマで物語は幕を閉じる。

続くエンドクレジットも、楽しいアニメーションとテンポいいマカロニウエスタン調の曲が延々と流れ、最後の最後まで飽きさせない娯楽映画になっています。

監督は「パイレーツ・オブ・カリビアン」などのゴア・ヴァービンスキー。スピードあふれるシーン展開と軽快な映像がとにかく物語にぴったりとマッチしていて軽やかなムードがいっぱいの世界に仕上がっています。本当に楽しい一本でした。