監督が廣木隆一監督であるし、大好きな連佛美沙子さん主演ということで見に行った一本。
秋葉原の連続殺傷事件で恋人を失った主人公ひかりの姿をデジタルカメラによってドキュメンタリー風に延々とおい続けていく。もちろん、秋葉原で女性カメラマンや、路上ミュージシャン、メイド喫茶のスカウトマンなどに出会うという展開はあるものの、終始、ひかりの姿を長回しでおい続けていくスタイルである。
主人公ひかりは恋人健治を失い、自宅に引きこもっていたが、最近ようやく外にでることができて毎週秋葉原に出かけ、健治の面影を追い求める。いや秋葉原という健治が愛した場所がどういうところなのかを確かめるかのようである。
結局ひかるの心の内面をカメラが追っていくという感じで、おもしろくもなんともない。しかも、ほとんどカットしないので、ただおい続けていくだけなのである。終盤、一人の青年佑二と出会い、彼が東日本大震災に両親が会ったという現実を見せ、とってつけたように大震災の惨状のシーンが挿入されるが、この作品の撮影中に起こった出来事を入れたくなる廣木監督の気持ちは分かるが、かえって作品全体のメッセージをぶらせてしまったし、こんなヒューマニズムは私個人としては見たくない。
結局、健治と乗るはずだった水上バスにひかりが乗り、ムーンリバーの音楽が流れてエンディング。映画の出だしでひかりが電車で大きな川を渡るシーンを延々ととらえタイトルというショットを美しい夜景の中を流れる水上バスで締めくくるという廣木監督のイメージは理解できるものの、個人的に、あんまり好きな作品ではなかった。
まぁ、映画の好き嫌いより連佛美沙子さんを見ることができたのだからいいとしましょう。