くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「スノーホワイト」

スノーホワイト

期待もしていなかったけれど、その通りだったのいうのも寂しい一本。

導入部、ラヴェンナが女王になるまでの下りと、クライマックス、なぜか毒リンゴののろいがあっさりと解けてスノーホワイトが軍隊を率いて城に攻め込むスペクタクルシーン以外は特に見所も見応えもない。その間のスノーホワイトを探す下りが延々と続く中盤がちょっと退屈。脚本の物語構成のバランスが実にまずい一本でした。

子供向けの童話としての「白雪姫」のイメージを払拭し、本来の残酷かつグロテスクなグリム童話の世界を作り出そうとした前半部分はこれはと思えたのだが、そこから後、スペクタクルにするのか、人間ドラマにするのか、はたまた大人の童話にするのかちょっと中途半端に展開する。

しかも「世界で一番美しいのは・・」と答える鏡。私にとってはスノーホワイトクリステン・スチュワートよりラヴェンナ女王のシャリーズ・セロンの方がよっぽどうつくしくみえた。で、それやったら前に進まないということで物語り通り、スノーホワイトが美しくなる展開となる。

妖精の森に迷い込んで七人の小人が俗っぽいリアリティで登場。妖精の国の夢のような描写は美しいが、なぜかスノーホワイトが白鹿とで逢うなんて「もののけ姫」か!!。そして白鹿は弓で殺されて散るあたりそのまんま。このシーンは何のため?

さらに魔法使いのおばあさんは不気味なリンゴをスノーホワイトに与えるもばれてしまって退散。しかしスノーホワイトは死んでしまう。にもかかわらず幼なじみのウィリアムにキスされてもよみがえらずエリックにキスされるとよみがえる。しかしこのエリックとスノーホワイト恋物語を描写したシーンがいかほどあったか思い出せないほどであり、このあたりのドラマ性が非常に弱い。しかも、見方となる公爵が実に頼りがいのない人間で、立派な人物のようだが、どうも迫力がない。このへんの人物描写も希薄。

こうしてクライマックス。ラヴェンナはあっさりとやられてしまい、スノーホワイトが女王になり、エリックはすごすごと消えていく。これってなんなのか?まるでB級の体予算エンターテインメントのレベル。脚本に数人が参加しているが、それが失敗だったのかともかく、つっこみどころはファンタジーだからいいとしても、どっちつかずの方向性で作られたエンターテインメントはいただけない。本当に残念な一本でした。