くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「天地明察」「ロック・オブ・エイジス」

天地明察

天地明察
脚本が実によくできている。細かい部分にあまりこだわらず、物語の大局をおおざっぱにつかんで、歴史の一ページをひもといて娯楽作品として仕上げている。そのためにそれぞれのエピソードのバランスが実にいいし、必要以上にこだわらなくていい部分は実にさりげなくこなしているのだ。だから、見ていて全く退屈しないし、ラストにいたっては素直に感動するように組み立てられている。この映画の最大の長所はそこでしょうか。とってもよかった。良質の映画を一本見たという満足感に浸ることができました。

岡田准一が演じた主人公安井算哲も一見変わり者という冒頭の描写からきまじめな前半、熱意に燃える後半と人物描写がしっかりと描けているし、最近優等生の役ばかりで鼻についてきている宮崎あおいもさりげなく使っていることもいい。安井算哲を影で助ける人物が前半と後半で変わるがそれも程良いバランスである。

結局、前半の勝負の敗北からクライマックスにもう一度同様の勝負でエンディングを迎えるという冒険はそれなりにプロットの組立がなされていないと成功しない。それがうまく成功した一例だと思う。

宮崎あおいが駆けつけるシーンはちょっとあざとい気がするが、これも最後のお遊びと受け入れておこうかな。

誠実に歴史ドラマに向き合って、丁寧な演出と、ただ娯楽一辺倒に仕上げようとしなかった滝田洋二郎監督の演出手腕に拍手したい一本でした。素直によかったです。


「ロック・オブ・エイジス」
久しぶりに楽しいロックミュージカルを見ました。踊る、歌う、ミュージカルの醍醐味、シンプルなラブストーリー、にぎやかでノリノリの楽曲の数々、最後まで映画を見ているという実感に浸れる瞬間を味わった気分です。

物語は田舎からロサンゼルスへ夢を見てでてきたシェリー、そこでついた日にひったくりにあって一文無しになりたまたま一人の青年ドリューと知り合って彼が働く店に入る。一方この町にはロックのスーパースターステイシー・ジャックがいて、カリスマ的な彼の人気に町中が踊っている。そんな彼を目の敵にしてパッシングする市長の妻パトリシア。よくある物語だが、とにかくシェリーがバスで町にでていくところから歌と踊りが始まる。もう、最高に楽しいのだ。

ステイシーを演じるトム・クルーズがどちらかというと脇に回り、ドリューとシェリーの若い二人のラブストーリーを中心にする。吹き替え無しの生声トム・クルーズの歌と踊りのシーンもさすがに存在感満点。さらに目を引くのがパトリシアを演じたキャサリン=ゼタ・ジョーンズの歌とダンス。大好きな女優さんなので、その彼女がところ狭しと叫び激しいダンスをするともうわくわくである。

市長は女好きでパトリシアはかつてステイシーの追っかけだったなんていく展開でもう笑い飛ばしてしまうクライマックスが実にすばらしい。

人物の焦点が微妙にずれていて、前半はどうなるかと思うが、ミュージカルシーンに引き込まれて一気に後半へ、そして分かりやすい展開でエンディングへと向かうのが実に心地よい。

トム・クルーズなんて大スターを配置しながらさりげないラブストーリーでしめくくった映画らしいミュージカルを堪能できました。