くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「幸せの教室」

幸せの教室

トム・ハンクスが脚本、監督をした作品です。ジョージ・クルーニークリント・イーストウッド、などなどアメリカの俳優さんの映画はなんと言うか映画のつぼを心得ている方も多いので期待半分、興味半分で見に行きました。

出だしからジェームズ・ニュートン・ハワードの軽快な曲に乗せてテンポ欲タイトルが始まります。原題は「LARRY CROWNE」主人公の名前です。なんともドンくさい日本題名をつけたものだと思わなくもありませんが、原題を知るとこのオープニングが実にしっくりときます。スーパーで勤める主人公ラリー・クラウンが手際よく商品をさばいていく様子がスプリットスクリーンで描かれていく。とっても楽しい導入部に一気に取り込まれてしまいます。

突然解雇されたラリーはその原因が大卒ではないということなので、大学入学を決意。そして大学でさまざまな個性的な学生や先生と出会いながら、一人の女教師メルセデスと知り合う。というのが物語の本筋。ただ、ラリーとメルセデスのラブストーリーではなくて、その周辺で繰り広げられるラリーの新しい人生への過度での物語というのがとても楽しい。

日本人の堅物教師がいたり、調子のいい学生が近づいてきて一緒にスクーターで暴走してみたり。とシーンシーンがとにかくうきうきわくわくしてしまう。スクーターの集団に入るときに指を鳴らしてみんなで『ウエストサイド物語」のワンシーンのごとくしてみたり、ラリーが初めてメルセデスをスクーターの後ろに乗せるときは『イージーライダー」のようなヘルメットのいでたちになったりと、さりげなく古き名作へのオマージュが盛り込まれている遊びも楽しい。

結局、なるようになってハッピーエンドなのですが、エンドロールにも楽しい映像でラリーとメルセデスがスクーターで走るシーンを入れたりとサービス満点なのです。映画はこうやって楽しませなきゃだめだよといわんばかりなのがとにかく好感な作品でした。100分あまりがあっという間に終わってしまった。

ただ、作品といての完成度から見てみると、それぞれのキャラクターがとっても魅力的で面白いし、それぞれのエピソードも無駄がなくて楽しいのだけれど、全体に一本の作品としてみたときにいまひとつまとまりがないのが残念。しいて言えばそういうところでしょうか。でも、見て損のない映画でした。映画館に足を運ばせるだけのできばえにする才能はさすがに一流の俳優ならではの感性のなせる実力でしょうね。