くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「釈迦」

釈迦

「釈迦」
日本最初の70ミリ映画としても映画史に残る大映の超大作である。文字通り豪華絢爛なセットとこれでもかというほどのスターが目白押しに登場する。二時間半以上あるが、つぼを心得た脚本でほとんど飽きさせることなく、釈迦の誕生から入滅までの物語を数々の奇跡のエピソードをちりばめながら描いていく。

基本的な展開はキリスト映画に酷似しており、こんなシーンがどっかのキリスト映画にあったかなというのがたくさんあるけれども、当時、数々の名作、傑作に登場していた名優たちが驚くような格好で登場するのを見つけるおもしろさもあって、これもまた大作故の見所です。

当時の技術の粋を集めたというだけあって、特撮シーンもしっかりと手を抜かずに演出されていて、もちろん今の技術に及ばないものの、当時の最高水準を見ることができてこれもまた楽しい。

監督は三隅研次なのですがいつものような様式美の構図はほとんどみられず、ひたすら職人芸に徹した演出が施されている。大スターのそれぞれをいくつかのエピソードの中心に配置しながら、つぎへつぎへとストーリーを語っていく。それぞれのエピソードのバランスも良く程良い加減で釈迦の訴えるメッセージもさりげなく挿入されて、不思議とその教えに耳を傾けている自分もあったりする。

現代の長尺映画よりよほど楽しめる作品であり、やはり映画黄金時代のスタッフの身につけた娯楽映画作りの技のようなものが見られたようで本当に楽しみました。