くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ベン・ハー」「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」

ベン・ハー

言わずもがな、名作中の名作。大きなスクリーンで見れるということで、久しぶりに見に行くことにしました。コロナウイルスの影響で公開作品がなく、TOHOシネマ梅田の大スクリーンで見直し。流石にアカデミー賞の貫禄。エピソードの構成に無駄がないので四時間近くの長尺が全く退屈しない。しかも細かいカット編集の妙味を今回改めて再確認できて圧倒されてしまった。やはり名作とはこういう映画をいう。監督はウイリアム・ワイラー。主演チャールトン・ヘストン

 

物語は今さらいうまでもないし、ほとんどの場面を覚えていました。デジタルマスターされた画面は非常に美しいし、本物の大作の迫力というか、膨大な人数のエキストラと巨大セットの数々は改めて感動してしまいました。

 

ユダヤ人の王子ベン・ハーが友人メッサラに奴隷船に送られ、しかし、幸運からやがてメッサラの元に復讐のために戻って来る。ところが母も妹も癩病に犯されている。時はキリスト生誕からの時代、ユダヤ人たちは救世主の誕生に密かな希望を持っている。映画はあくまでキリストの物語として描かれていくが、奥の深い物語構成にどんどん引き込まれます。

有名な戦車シーンを核に、キリストの磔からの奇跡をクライマックスにしたストーリー構成が見事。

 

名シーンである戦車競走の迫力ある場面は何度見てもその完成度の高さに圧倒されるし、あくまでキリストを描く宗教映画なのだが、中心の展開をベン・ハーのスペクタクルなドラマに当てたストーリー作りの妙味はまさにアカデミー賞にふさわしい。今やこういうカモフラージュしたメッセージを描く余裕もないだけに、こういう本物の大作は繰り返し上映されるべきだと思います。

 

「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」

フランス・デンマーク合作のアニメーションを見る。シンプルな絵と色彩で描かれるアニメーションで、実に落ち着いた良質の作品に仕上がっています。ストーリーの展開もクオリティの高い構成になっていて、最後まで楽しむことができました。監督はレミ・シャイエ。

 

主人公サーシャの祖父が人々の期待を担って北極点を目指す船旅に出るところから映画は始まる。ところが、祖父の船ダバイ号は行方不明になり、発見者に賞金も出るようになるがとうとう見つからない。

 

一方、サーシャの家の名誉は失われてしまう。サーシャの両親はサーシャが皇帝の甥トムスキー王子に気に入られることで名誉回復を考えるが、サーシャは祖父が残した北極航路のメモを見つけ、一人ダバイ号を目指そうとする。しかしお金もないサーシャは、港で食堂のおばさんに拾われ、なんとかルンドという男の船でダバイ号を見つける旅に出る。

 

ところが、流氷に阻まれた上に氷山で船が破壊され、サーシャたちは、ダバイ号を見つけることに望みを託す。そして、真っ白な雪原を進み、とうとうダバイ号を発見する。

 

サーシャの祖父は、単身北極点を目指すも、発見したあと体力が尽き、航海日誌だけをサーシャに残していた。そしてサーシャたちはダバイ号で無事帰還して映画は終わる。

 

物語もシンプルで、全体に実に素朴なのだが、落ち着いた上品な配色と素直な絵作りがとっても素敵な一本で、アニメの一つの形を楽しめる作品でした。