くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「マン・オブ・スティール」

マン・オブ・スティール

ザック・スナイダーという監督は基本的に好きではない。ただ、このスーパーマンの新シリーズは素直におもしろい。

CG全盛時代なので、今更不可能な映像はほとんどない。かつてなら至難の業だった人物が空を飛ぶ場面も縦横無尽に飛び回る。当然、人間を撮影して、それを合成するというような陳腐な世界ではない。

物語は、かつての映画シリーズと同様、クリプトン星の滅亡シーンから始まる。いや、正確には主人公になるカル・エルがなんと、自然分娩で出産されるシーンから始まる。そして、今にも滅亡するクリプトン星の元老院の会議のシーン、クーデターを起こそうとするゾッド将軍の反乱、そして逮捕、カル・エルの脱出へとながれて、物語は一気に地球へ。そして、すでに成人になったカル・エルが回想を交えた映像で子供時代を映し出していく。

シーンが前後しているとはいえ、クイスタファー・リーブが主演した「スーパーマン」と基本的に同じである。ただ、脚本にクリストファー・ノーラン監督作品のデヴィッド・S・ゴイヤーが参加しているし、大人のドラマという感じの新シリーズなので、地球にやってくる敵となるゾッド将軍はクリプトン星の再生の為にカル・エル(スーパーマン)と戦うことになる。しかも、微妙にスーパーマンにも迷いが生じたり、最初、人類の味方であると見せつけるまでが、かなりこった脚本になっている。

しかし、結局、見せ場はCG満載の派手なバトルシーンになるクライマックスで、一瞬で飛び回るスーパーマンのものすごいスピードシーンが最大の見物である。しかし、これも今となっては目新しくない。たまたま、同時期に公開しているCG満載のSFアクション映画「スター・トレック イントゥ・ダークネス」「パシフィック・リム」と比べると、映像はかなりふつうである。というか、派手なCGを見せるだけにとどまっているのがちょっと残念。

めまぐるしいほどのカメラワークで縦横無尽に見せる「スター・トレック イントゥ・ダークネス」のJ・J・エイブラムスの演出や、日本のアニメが原点とはいえ、アイデアで見せてくる「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロの方が個性が生かされている。特にメリハリをつけたCGシーンの配置と、カメラワークのうまさで、J・J・エイブラムス監督がダントツにうまいというのが私の感想です。

とはいえ、クライマックスの巨大な地球改造シーンの後のゾッド将軍とスーパーマンの一騎打ちの場面は、見事なくらいに工夫されている。一瞬の動きと、飛び回るスピード感がすばらしい。

さらに、スペクタクルシーン以外のドラマシーンもほとんどだれることがなく、時間を前後させたり、心理描写を交えた小気味良いカットの連続が、終盤の派手なシーンに劣らずうまく組み立てられている。ここは、脚本の構成のうまさによるところも大きいのではないかと思う。

難を言えば、ロイス・レインはほとんどおざなりの描き過多になっているし、所々、やや人物描写の弱いところが気にかかるが、この手の娯楽映画で細かいところにこだわることもないかなと思います。

二時間半近くあるが、楽しめるエンターテインメントである。その意味で、シリーズスタートは成功でしょうか。でも、やはりスーパーマンクリストファー・リーブですね。