くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「泥棒成金」「アメリカン・ハッスル」「マイティ・ソー/ダ

泥棒成金

泥棒成金
私のみたヒッチコック映画の中では、かなり印象の薄い一本です。特にヒッチタッチと呼ばれる独特のカメラアングルも、カメラワークもないし、お遊びも少ないというのがその原因で、ストーリーも、ちょっと切れがないというのも原因といえば原因。

ただ、大好きなグレース・ケリーがでているというのが最大の魅力であり、もう一度見なすことになった。

ストーリーは、いまさらですが、かつてキャットと呼ばれる大泥棒だった主人公ジョン・ロビーが、今は足を洗っているのに、なぜか同じ手口での宝石泥棒が横行し始め、自分にぬれぎぬがかかる。そこで、ぬれぎぬをはらすべく、自分がおとりになって真犯人を見つけるという内容である。

よくある、ヒッチコック映画得意の巻き込まれ型に近いが、展開が普通で、全体に、度肝を抜くジャンプカットなども見られない。結局、犯人は、かつての仲間の娘という落ちだが、それにどんでん返しのおもしろさも見られない。

エピローグの、グレース・ケリーとのキスシーンも、ウィットに富んだエンディングではないのが残念。

でも、やはり、そこはヒッチコック映画、決して飽きさせない映像が、次々と飛び出すから不思議なものですね。やっぱり、ヒッチコックは独特の世界だと思います。


アメリカン・ハッスル
久しぶりに、この手の詐欺映画の秀作に出会いました。おもしろかった。監督はデビッド・O・ラッセルです。

一筋縄ではいかない登場人物達が、繰り広げる一筋縄ではいかない騙しあいの物語、というと「スティング」を思い出しますが、あの名作ほどのストレートさはありません。時代が1974年という背景もありますが、少々、ストーリーの背景が現代に近く、どろどろしていることも確か。でも、ラストの、どんでん返しは、それなりに楽しめるし、その後のエピローグも最高。

映画は、主人公アーヴィングが必死で頭の禿を隠すために、ヘアピースをくっつけているシーンに始まる。ここから、暗に騙すという比喩を表現しているのかと考えてみたりもする。そこへ、FBI捜査官のリッチーが現れ、ヒロインであるシドニーが登場、これからこのプラザホテルで行われる大引きの現場へ向かうべく、やや諍いが起こる。

そして、物語は、このアーヴィングどういう経緯で今になったかが語られるという展開。

なんといっても出色が、アーヴィングの本妻ロザリンを演じたジェニファー・ローレンス。この存在感が抜群にきらきら光っていて、本来の物語をぶちこわすかのような危うさを与えて、ストーリー展開を平凡な詐欺ストーリーで終わらせない。しかも、どこか憎めないから何とも素敵なのです。

クリーニング店を経営し、詐欺まがいの画廊を経営するアーヴィングは、ある日、シドニーと知り合う。頭のいいシドニーは意気投合し、二人で、軽い詐欺を働きながらどんどん金儲けをするが、FBIに逮捕される。その取引で、収賄容疑の議員や市長を罠にかける計画に乗る。ところが、カジノをネタに進めた話に、マイアミのマフィアのボスを引き出してしまい、どんどん展開は危険な方向へ。そして、クライマックスのプラザホテルの取引へと流れていく。

案の定、うまく切り抜けたかに見えたが、アーヴィングはしっかりと,FBI捜査官のリッチーも罠にかけていて、騙していたというもの。

「スティング」のような爽快感はないのですが、あっというラストシーンがおもしろいし、その後のマフィアの愛人になり、アーヴィングを去っていくロザリンのエピローグが抜群。

さらに、回転するカメラワークやスローモーションなどを駆使したテクニックと、巧みな音楽挿入のセンスも抜群で、映像作品としてもクオリティが高い。
なかなかの一品、とってもよかったです。


マイティ・ソー ダーク・ワールド」
マーベルコミックのこの手の映画は、その背景をほとんど忘れているので、最初は戸惑うが、結局、どうでもいいことがわかってからは、単純なストーリーだけを楽しむ。

CGをふんだんに使ったコスチュームものであるこの作品、今回は、惑星直列による、闇の世界と現実世界の接触と、それに伴う世界の終末を救うという物語らしい。

クライマックスは、空間にあちこち穴があいたように、消えては現れ、突拍子もないところから飛び出したりというコミカルなバトルシーンが繰り返されて、まぁ、いろいろ、工夫しないといけないという努力が伺える娯楽作品でした。

単純に楽しめるエンターテインメントなので、どこがどうというのもないし、特に秀でた見せ場もない。しかし、普通におもしろいのだからこれでいいかなという作品でした。

それにしても、ナタリー・ポートマン、こういう映画にもでているのですから、本当にすごい女優である。