くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「続・深夜食堂」「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」

kurawan2016-11-11

「続・深夜食堂
テレビドラマ版が話題になった作品の映画版第二作である。当初の映画版は見ていないのですが、原作の物語の中の3話をオムニバス的につなぎ合わせて見せるので特に問題はありません。

しっとりとした空気の中で描かれる人情ドラマはどれも秀逸で、年齢を重ねた今だからこそ身にしみる感動がじわっと胸に迫って来る。演ずる役者さんたちも達者な方を揃えているので、人生の機微がリアルとフィクションが入り混じるほどの垣根を超えて伝わるのはたまらない魅力ですね。監督は松岡錠司です。

テレビ版と同じオープニングなのでしょうか、深夜食堂のいわれ、その佇まいの説明から物語は幕を開ける。深夜の12時から翌朝7時ごろまで開く町の片隅の小さな食堂。そこに喪服の人々が集うところから最初のエピソードが始まる。

喪服を着て食事をすることで日中のストレスを発散する女、ある夜、一人の男性出会い、付き合いを始めるが、実はその男は香典泥棒だったという流れへ。

一つのエピソードにこの食堂に集まる共通のキャストが話をかぶせ、マスターを演じる小林薫の物静かな言葉が、一つ一つを締めくくっていく。

続いて、15歳も年上の女性の恋をした蕎麦屋の一人息子の物語。年の差故に母親に大反対され、それで悩んでいる。息子はこの食堂でいつも焼うどんを食べている。この食堂にその母親もやって来ることがあり、そこで一人の気のいい女性と知り合い意気投合するのだが、実はこの女性こそが息子の恋人だった。

気まずい思いをしてしまうキムラ緑子扮する母親のすっ飛んだような威勢のいい会話が、逆に、子離れできない母親の一人になる孤独感と切なさをじんわりとスクリーンからにじみださせて来るあたり絶妙である。

さて、最後の話は、一人の老婆が東京駅に降り立つ。電話で何やら会話をし、息子ために金を用意し、息子の同僚だという青年と会って金を渡す。そのままタクシーに乗る老婆。どう見てもオレオレ詐欺なのだろうと感じるが、その通り物語は、気のいい派出所の巡査や、食堂にやって来る新潟から出てきた娘との絡みも生まれ、東京にいるとだけしかわからない息子の姿を一目見せようと、巡査が一芝居をうって、遠くから息子たちを見つめ、タクシーで去っていく老婆の物語で閉める。

それぞれのつなぎを決してプツリと切ってしまわずに、オーバーラップするように次の物語に運ぶ絶妙さがとってもいい雰囲気をかもし出します。

全く大人のドラマだと感じ入る作品ですが、悪く言えば、テレビの深夜番組なので、深夜に見てこそ、本当の機微を感じられるんじゃないかと思うのです。でも映画としてもいい作品でした。


ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
映画としては並みの仕上がりの作品ですが、なかなか面白かったし、ストーリーの組み立てもしっかりして楽しめました。少々、何で?みたいなのもあるのですが、そこはトム・クルーズの存在感でカバーしたという感じでしょうか。監督はエドワード・ズウィックです。

ドライブインで、一人の男が喧嘩騒ぎを起こしたということで、保安官がやって来る。騒ぎを起こしたのはジャック・リーチャーで、駆けつけた保安官は逆にMPに逮捕されるが、仕組まれた騒動だと感じたジャックはターナー少佐に連絡を取る。ところは程なくして彼女もスパイ容疑で収監され、ターナーの部下はアフガンで殺される。その上、ジャックも収監される。しかし、命が危ないと察したジャックはターナーを助け脱出、真相を突き止めるため動き始める。

こうして物語は本編へ。アクションに次ぐアクションが繰り返される。ジャックには、身に覚えのない娘がいることが判明し、ジャックが命を狙われることに巻き込まれて、その娘サムも危なくなったので、ターナーとともに三人で追っ手をまきながら真相を追っていく。

特に秀でた映像も演出も見られないが、オーソドックスに展開するアクションは楽しむに十分な出来栄えである。

どうやら上官が武器を横に流しているのではないかと、真相に迫っていくが、実は麻薬の密輸だったと真相が判明。しかし、なぜか敵側の殺し屋は執拗にサムを付け狙う。このエピローグ的な駄目押しのアクションの意味がよくわからないが、当然ながら、ジャックがサムを助けハッピーエンド。クライマックスはハロウインの夜となっているが特に眼を見張る絵作りはされていないし、屋根の上の追っかけも普通である。こういう追っかけシーンはヒッチコックなら見事な絵にするのだが、ここが違うんですよね。

そして、サムも実はジャックの娘ではなかったとわかり、また一人放浪の旅に出るジャックのショットでエンディング。

まぁ、何度も書くけど普通の映画でしたが、面白く見れました。