くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「俺たちの明日」

俺たちの明日

舞台劇の映画化というシチュエーションムービーで、悪くいえば、Vシネマのような映像であるが、スプリット映像を駆使し、細かいカメラワークとカットつなぎを駆使したハイテンポな映像は、かなりよくできた自主映画のごとく、躍動間あふれる作品として完成されています。

少々物語のエピソードを盛り込みすぎたために、話が複雑かつ多方面に広がりすぎて、肝心の一本の物語が際だってこない、という欠点はある物の、これはこれで見る価値のあった作品でした。

映画は、とある質屋。一人の客がこれ見よがしに品物を持ち込んできている。店長が応対し、偽物だと説明すると、やくざらしき客が切れる。しかし逆に店長におもいきり殴られ、すごすごと退散。

一方外では、この質屋に盗みに入るべく不動とその仲間が準備している。方や、質屋のアルバイトの青年は恋人の誕生日プレゼントに、店のネックレスをちょろまかす。そこへ、そのネックレスを持ち込んだチンピラが、女房の物だと取り返しにくる。

やがて、不動たちが進入して、それぞれが入り乱れての質屋でのやりとり、そこへ刑事が踏み込んできて、不動の仲間に、送り込んで潜入捜査させていた男と合流、一時は銃撃戦になるも、そこへ別の刑事がやってきて、実はこの刑事は質屋の店長から賄賂を受け取っていて、その理由は質屋の店長が麻薬を裁いているのを目をつむってもらっていたというさらにエピソードが乗ってくる。

一方不動にはアメリカで移植を待つ妹がいて、時々電話がかかってくる。

不動は、すべてそろうと奇跡が起こる金貨のかけらを集めていて、最後のかけらがこの質屋にあるらしく。

とにかく、てんこ盛りのエピソードが次々と起こってくるので、かなりごちゃ混ぜになってくる。ラストで、一人又一人と銃弾に倒れていき、どれが正義でどれが主人公かと混乱の中、潜入捜査していた刑事だけが生き残り、不動の妹の電話を受けて、ドナーが見つかった知らせに、奇跡の金貨の力かと涙ぐんでエンディング。

出だし、スプリットスクリーンで細かいタイトルバックと映像、斜めや手持ちカメラを駆使する映像演出がかなり個性的な作品ですが、冒頭にも書いたように、一歩間違うとVシネマである。しかし、いかにも舞台劇のようなシチュエーションで展開する閉鎖空間の物語は、適当に作られた邦画よりよほどおもしろいし、香港映画のようなムードもないわけではなく、みて損のない映画でした。