くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」

ワールズエンド

エドガー・ライト監督作品というのは、どんどんエスカレートして、いったいどこへ行くのかという、ある意味ばかばかしいスケールの大きさと、くだらないギャグの連発がおもしろい。

で、今回の映画ですが、その意味でのばかばかしい笑いが今一つ物足りなかった。しかし、ストーリー展開は即興かと思えるようなめちゃくちゃな組立がおもしろいのですが、どうも、全体がリズムに乗ってこない為に、普通の映画の失敗したみたいな出来映えになっている。

かつて、青春時代に12軒の店のハシゴ酒を試みた悪友五人、大人になって、ふつうの毎日を送る彼らのところに、アル中で療養中のゲイリーが旧友を集めて、もう一度試みようとやってくるところから始まる。

自己中心でどんどん、悪友を訪ね、なぜか故郷ニュートンヘイブンに集まる。そして始まるハシゴ酒ツアー。一軒目と二軒目が全く同じ店に見えたり、おふざけの笑いから始まるが、途中、妙な若者にトイレで絡まれたゲイリーが、その若者を殴ると、なんとブルーの血を吹き出して倒れてしまう。

その若者はロボットだったのだ。あれあれ?とどんどん話が、ハシゴ酒ツアーから離れて、町を乗っ取られたロボット宇宙人とのバトル戦へ。

ハシゴ酒ツアーの道入部はおもしろいのですが、それがリズムに乗る前に、ロボットエピソードに突入する為に、ストーリーの構成のバランスが崩れたように思える。ロボットがでてきてからはギャグよりも、あり得ない展開で見せていく形になり、それはそれでいいが、どうも見ている方は混乱してしまうのです。いくら、エスカレートといっても、お話の発端は、あくまでハシゴ酒ツアーであり、それに無理矢理固執する中盤から後半が余りに荒くなってしまった。

なぜかハシゴ酒にこだわるゲイリーのショット、無言で不気味に視線を送るロボットたち。そのシーンが妙に芸術的な映像に見えるのも又不思議。

結局、愚かな人間を粛正するべくやってきた宇宙人が、人間とロボット人間を入れ替えていくという「盗まれた町」的なクライマックスで、ゲイリーと宇宙人のやりとりがかなりくどい。結局、自由になりたいとゲイリーが叫んだだけで、ロボットは無力になり、大爆発を始める。そして、ニュートンヘイブンの町は吹っ飛び、世界が終わったかの映像へと流れていって、どこかで見たようなシーンで、アンディがその後を語っている。

いつの間にか再起動したロボット人間と生き残った人間との確執、共存と排除の戦いがあちこちで小競り合いとなっている中でエンディング。いったいなんなの?という映画ですが、エドガー・ライトの映画に、理由付けはいりません。しかし、最近の彼の作品の中では一番面白味が足りなかった気がします。