くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「イーダ」「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」

kurawan2014-08-11

「イーダ」
モノクロスタンダードの画面に、徹底的に削り取られた映像とせりふ、そしてストーリーにジャズの音楽を交えて語られるポーランド近代史の一面。そのあまりのシンプルさに、結局、90分弱だというのに、完全な理解にいたらなかった。

映画は、ある修道院、修道女たちが、室内の銅像を外に運ぶ。まもなく修道女としての誓示式を前にする主人公アンナに、院長が、実は孤児だといわれていたが、叔母がいることを説明する。

アンナは、誓示式の前に叔母に会うことを決意、訪ねるが、そこで、彼女が実はユダヤ人のイーダという名前だと知らされる。なぜ彼女は孤児として神父に預けられたのか、その真相を探るために叔母と二人、出生の秘密をさぐる旅にでる。

カットとカットが唐突に切り替わるので、ストーリーテリングのおもしろさというより、説明不足さは否めない。つまり物語の背景は、ナチスユダヤ人迫害で、まだ赤ん坊だったイーダはユダヤ人でないと偽っても気づかれず、そのまま神父に預けられたという真相なのだが、戦時中の物語以上に、近代ポーランドの歴史もかいま見える展開と、無駄のなさすぎるほどに省略された映像のために、日本人にわかりにくい部分もあるのだ。

謎が明らかになり、叔母は窓から飛び降り、葬儀の場面から、イーダは恋人に体を許し、最後の決意をする。
イーダが一人町を横切る、カット、こちらに向かってくるカット、そしてエンディングと、芸術的な編集を施して映画が終わる。

凡作とはいえないし、映像としても、映画としても優れているのだが、その個性ゆえに、純粋無垢というこの映画のオリジナリティに突いていけなかった気がする。

監督はパヴェウ・パヴリコフスキである。


「ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪」
ツイ・ハーク監督の香港映画といえば、破天荒なストーリーと荒唐無稽な映像に、開いた口がふさがらないほどに楽しませてくれるシリーズなのだが、今回もまさに堪能させてくれました。そして、例によって題名と物語りはほとんど関係ない。

お話は、「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」のディー・レンチェ判事の前日談の物語。時は唐の時代、隣国に攻められ、攻防を繰り返す王朝に、とある国の陰謀がせまる。

人間の体に目に見えに虫を仕込み、死に至らしめるというエピソードに、その虫で半魚人に変えられてしまった茶の製造店老舗の主人と花塊のインとのラブストーリーも絡み、つながるようで関係のない、見せ場だらけのCG映像とワイヤーワークのアクションを次々と見せてくれる。

水の中を駆け巡る馬、エイの化け物のような海獣、かなたまで広がる艦隊、そんな壮大すぎる映像の中で、縦横無尽に飛び前あるアクションシーンの醍醐味は、まさに香港エンターテインメント。

行き着く話の結末も、あってないようなラストシーンで、その後、散々お遊び映像もあって、てんこもりの娯楽の塊。本当に楽しかった。