くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「マダム・マロリーと魔法のスパイス」「ニンフォマニアック

kurawan2014-11-05

「マダム・マロリーと魔法のスパイス」
スティーヴン・スピルバーグ制作、ラッセ・ハルストレム監督、ヘレン・ミレン主演という豪華メンバーで、ミニシアターにかかってしまうというのは、本当に時の流れを感じさせる。

映画は、本当に灰汁のない、優しい作品だった。ラッセ・ハルストレムらしい、花火や、ランプを使ったファンタジックな構図もたくさん見られ、絵作りの美しさは評価してしかるべきである。

物語は、インドからヨーロッパに渡ったインド人の料理家族、中でも幼い頃から料理の才能があった息子のハッサンが、やがて、その才能を発揮し、向いにある、マダム・マロリーの経営するフレンチレストランをもうならせ、そのレストランでシェフとなって、ミシュランの星をワンランクアップさせ、さらにパリにでていって大出世するが、故郷に戻ってきて、マダム・マロリーの店に戻るというよくある話である。

登場人物どれもが善人で、毒がないのは、ある意味物足りないが、それがかえって、凡作にならずにすんだのかもしれない。

インド人家族の父親を演じたオム・プリという俳優の声が抜群にすばらしく、対する、ヘレン・ミレンの存在感と張り合ってのバランスがよかった。

ただ、この二人の存在感が、肝心のハッサンの出世物語をぼかしてしまったのも事実で、全体の作品のムードが、一本筋の通った完成品に仕上がらなかったのが残念。

とはいえ、良質な作品で、一見の価値ありといえる映画でした。


ニンフォマニアックVol.2」
色情狂ニンフォマニアックの女性の半生を描いたラース・フォン・トリアー監督の異色作であるが、Vol.1に続いての後半は、もう少し、映像的な語り口になるかと思いきや、さらにせりふで語っていくストーリー展開がとにかくしんどい。いや、しんどいよりも退屈の極みになる。しかも、ラース・フォン・トリアー監督作品に見られる、主になる物語の背後に漂う監督の声も聞こえてこないからつらい。

物語は、単純に前半の続きから始まる。傷ついた主人公のジョーが、助けられたセリグマンのベッドで、これまでの彼女の運命を語っていく。

前半の最後で、完全に不感症になってしまった彼女は、新たなる刺激のために、手足を縛り、鞭で責められる性指向へと進んでいく。一方、その欲望に耐えられず、子供や夫さえも捨てて走る彼女は、やがて、借金取りという仕事に就くのだが、たぐいまれな男経験を生かして、債務者に隠れた性指向を思い起こさせたりする。このあたり、どうもわかりづらいのである。

そして、そのボスに、そろそろ後継者を育てるようにアドバイスされ、一人の少女の世話をしながら、自分の後継者に育てていく。

ある日、頼まれた債務者の家は、なんと元夫ジェロームだった。そこで、後継者にその仕事を任せるが、なんと、彼女はジェロームと親しくなり、嫉妬したジョーはジェロームを撃ち殺そうとするが失敗、殴られて、路地に倒れ、冒頭のシーンになる。

最後まで話したジョーは、セリグマンのベッドで眠るが、寝入った後、セリグマンが忍び込んできてジョーを襲う。しかし、ジョーはピストルでセリグマンを撃ち、どこかへ去ってエンディング。

前後編一気に見たらもっとしんどかったかもしれない作品で、前半と後半にほとんどテンポの変化はない。哲学的なメッセージがあるようにも思えるものの、感じ得ない。さすがにまいった。