なんともいえないテンポの映画。141分のロングバージョンがあるらしいが、とてもみれないだろうなと思う。
物語は一種のファンタジーだが、わるくいうと監督の頭の中に構築されたストーリーを脚本にしたものの、文章にする才能が今一つのために、それを演出でカバーしようとするが、それもまだまだという完成品になった感じである。
沖縄を舞台に、ギニア人の父と日本人の母をもつ少女リルウの物語。彼女にはいつも笑っているこころという友達がいる。
ある日、そのこころが行方不明になり、東京で意識不明で見つかる。なぜ、どうやって東京に行ったかは不明。こころには寝たきりで入院しているおじいちゃんがいる。そして、夢で見たことを日記にしているが、ある時から夢が見れなくなったという。
一方、リルウはそんなこころに近づくべく、ゲームセンターのカンカンハンターというゲームをして気がつくと、東京に来ていた。
なぜ?どうして?わからないが、リルウはそこでこころに再会する。
夢の世界か、現実か、リアリティとファンタジーが境目をなくす展開は、確かに独特ではあるが、どこか、芯になるものがなく、みている私たちはどこに視点をむけているべきかわからないのである。
リルウとこころは東京の孤児院で過ごし、カンカンハンターをもう一度したら沖縄に戻れると思っている。
このあたりからは、ストーリーとして書くべきものがわかりづらくなる。時々、舞台のような場所で会話しているリルウのシーンが挿入される。
結局、リルウは沖縄に戻ることができて、こころは戻ってこなくて、リルウは友達と音楽やダンスをしているシーンに、リルウの父親が「リルウのはじまりのはじまりの物語のおわりです」と告げてエンディング。
こころのおじいさんが偽札を作っていたとか、こころが夢の中で偽札を作り、みんな一億円手に入れるようにするとか、不可思議な展開もその意図が読めない。
おじいさんの維持装置が0になり、死んだことを描写するが、それがこころの昏睡状態とどう結びつくかも不明。
わからない部分は、監督としては描写してるつもりが伝わってこないのかもしれない。
監督の熊坂出監督は第一作でベルリン映画祭で最優秀新人作品賞を取ったと言うが、それをちょっとみてみたい。
なんか疲れてしまう映画だった。