「激戦 ハート・オブ・ファイト」
まるで、糸の切れたたこのように展開するストーリー。軸になる物語が定まらないままに、チーの話で進めたのが、時間が短く終わったので、ファイの話をくっつけにいったようなことになったように見えてしまう。監督はダンテ・ラム。
もちろん、チーとファイの師弟関係のストーリーとしてとらえれば、一本の映画で完成すると思うのですが、冒頭の導入部からの監督の視点を見ていると、そうは見えないのがちょっと残念。
チーの父の話がオープニングで描かれ、チーが、この映画の本編になだれ込む下りを語る。続いて、ファイの物語が描かれ、現在の住まいにたどり着き、クワンとその娘の話を語る。
そして、チーとファイが出会い、本編へ流れていくが、どっちつかずにそれぞれの物語に映像が飛んでいく。クワンの子供の話、精神的な病気の話、さらに、父の話も終盤の登場するから、これは脚本の一貫性の欠如にしか見えない。
一方のチーは、中盤で、大けがを負い、それに対してファイが立ち上がる後半。
香港映画なので、一気に本編になだれ込み、その後、少しずつその背景を説明する構成は理解できるのですが、今回、それがやや乱れている気がする。
クライマックスの格闘シーンも、リングが金網の中という設定もあるのでしょうが、やや、ワンパターンに終始し、選手同士の戦いの場面のカメラアングルも単調、軽い娯楽映画という位置づけを認めたとしても、ちょっと、いただけない。
ラストは、チーとファイの仲良く練習するシーンでエンディングだが、結局この二人のお話だったのだと無理矢理締めたようにしか見えない。なんとも、感想の書きづらい映画になってしまいました。
「現代インチキ物語 騙し屋」
久しぶりにやってしまいました。見ていないと思っていたのですが、「浪速の映画特集」で見ていた作品でした。
藤本義一原作脚本の、大阪を舞台にした詐欺師の物語。何度見ても、機関銃のように展開するストーリーとせりふに圧倒されてしまいました。
やっぱり、いい映画は何度見ても楽しいですね。