くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「悼む人」「きっと、星のせいじゃない。」

kurawan2015-02-23

「悼む人」
もっとうっとうしい映画かと思っていたのですが、なかなか胸を打ついい映画でした。やっぱり堤幸彦はうまいですね。

物語は、日本中の死者をその生きた頃の姿を心に刻みながら旅をする一人の青年、静人があ、ある少年のしにばしょで、ひざまずいて祈るように死者を感じているシーンから始まる。たまたま、その記事を書こうとしていた、今時のルポライター蒔野が見かけるところから、物語は本編へ流れていく。

たくさんの死者に出くわしたことで、心を痛め、全国を一人で回ることを決めた静人、そして、余命幾ばくもない母、対人恐怖症の父、そして、夫を殺してしまった倖世。静人がいく先々の物語と、周辺の人々の物語が交錯して展開していくストーリーは、正直、地味で静である。しかし、時折倖世の夫が幻影のように現れたりするシュールな映像に、ゆっくりとカメラが引いたり、寄ったりを繰り返すカメラワーク、そして、ゆっくりと主人公たちを回り込む画面が、いつの間にかみている私たちをやさしい気持ちにしていくのです。

二時間を超える映画ですが、ほとんど終盤まで静かなシーンが続きます。ルポライターの蒔野の苦悩が、やがて、父の死、買春で少年たちに瀕死の重傷を負わされ、死の間際で助かる下りから一気に大団円に流れていく。

静人に付き添っていく倖世のけなげさが、次第に死と生にたいする気持ちを画面いっぱいに呼び起こし、静人の母の死に際で、静人に「最後に恋を、愛する人にであってほしい」とつぶやくあたりは、クライマックスの見せ場。

少々、大竹しのぶが鼻につくのが気になるが、どんどん、自分が優しい気持ちにどっぷり浸っていくのを感じるにつけ、ああいい映画だったなぁと、胸がいっぱいになって熱くなりました。

少々、懲りすぎた映像もありますが、素直にこの世界に入り込めば、良さがわかる映画ではないかと思います。


「きっと、星のせいじゃない。」
難病者は好みではないのですが、大ヒット映画ということでもあり、見に行きました。
ポップなタイトルバックが終わると、主人公ヘイゼルの話へ。ストーリーは原作があるとはいえ、セオリー通りの展開である。

同じがん患者のガスと知り合ったヘイゼルは、恋に落ち、微妙な関係ながら、ピュアなラブストーリーが展開する。

ヘイゼルの憧れの小説家に会うためにアムステルダムへ行くが、その小説家は飲んだくれで、意気消沈する二人だが、その夜結ばれる。

しかし、今にも再発して、命の危険になるはずのヘイゼルではなく、ガスが全身転移を告白。

ラストは、よくある展開に、ちょっと工夫がプラスされた程度であるが、全体に爽やかな空気に彩られていて、気持ちがいいほどに美しいラブストーリーになっています。ガスとヘイゼルの笑顔も素敵で、両親のキャラクターも良い。若干、小説家の使い方が弱かった気がしますが、いい映画だったと思います。

ただ、好みのジャンルではない部分は払拭されませんでした。