「EXIT」
韓国映画らしいとぼけたシーンの連続で、サバイバルアクションなのに、全然緊張感も何もない映画ですが、これが韓国の国民性という感じで、これもまた面白い。監督はイ・サングン。
主人公ヨンナムは、就活をするも決まらず、鉄棒で筋トレしたりフリークライミングにチャレンジしている。父の古希のお祝いで家族らがあるホテルに集まりパーティを開催。そんな時一人の男が有毒ガスを積んだトレーラーを横付けしてガスを噴射させる。
ガスは地面をはい、やがて次第に上に上がってくる。ヨンナムらのところにも情報が届き、街はパニックになる。そしてヨンナムらの家族はなんとかヘリで脱出できたが、ヨンナムとそのホテルで働くかつての大学時代のウィジュが取り残される。物語はこの二人のサバイバルシーンとなるが、二人はフリークライミングをしていて、どんどん高所を目指していく。
とまあハラハラドキドキのはずが全然その緊迫感が伝わらないのは明らかに演出の力不足。当然ながらラストはハッピーエンドなのだが、どこを取っても、たわいのないおちゃらけ映画という仕上がりでした。
「潮来出島 美男剣法」
市川雷蔵祭で見る。たわいのない娯楽時代劇かと思っていたら、意外にしっかりした作品だった。テンポの良いストーリー展開と西岡善信の美しい美術、カメラの構図も素晴らしく最後まで飽きませんでした。監督は安田公義。
主人公の北原が、道場で試合をして勝つところから映画が始まる。その帰り、酒屋で平手造酒と知り合う。一方その店でおゆきという女性に一目惚れし、お互い恋仲になる。北原には仇と狙う男がいる。
という設定で物語が進む。その仇は実はおゆきの父でもあり、平手造酒の旧知の友人でもある。ヤクザの用心棒をしている平手造酒は対するヤクザの用心棒をしているその仇と相見えることになるクライマックスへ、それぞれの人情劇と恋物語が展開していく。
ラストはやくざ者の喧嘩シーンとなり、仇と平手造酒が相打ちで命を果て、おゆきはめでたく北原との恋が成就して終わる。
気楽な物語ですが、展開のテンポが実によく、娯楽作品とは言え、飽きることなくラストまで引っ張っていく。これこそ映画黄金期の職人芸でしょうね。
「弥次喜多道中」
古き良き日本映画黄金期の娯楽映画という感じで、とっても楽しかった。当時流行りの「処刑の部屋」「真昼の暗黒」「太陽族」などの流行を散りばめ、時代劇ながら、その枠を超えたエンタメに仕上げた手腕は見事。監督は斎藤寅次郎。
長屋でその日暮らしの弥次郎兵衛と喜多八。この日、借金取りに閉じ込められて穴を掘って脱出。ところが喜多八の声が出なくなり、それを治すために京都へ向かっている名医を追って京都へ。その名医が持っている不思議な石で声は出るようになったが、その石を狙う侍やらと三つ巴となり、京都で病に苦しむ子供達を助けるため、その石を届けるという正義感に燃える展開となる。
その場限りのようなドタバタコメディの連続と、芸達者な役者たちのアドリブが炸裂し、ただただ楽しい。本当に心がウキウキする一本でした。