くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「振り子」

kurawan2015-03-02

本当にたわいのない映画である。でも、素直に泣いてしまう。涙が止まらないし、自分の人生を振り返って、胸が熱くなっている。こういう感動を呼んでくれるのも映画の魅力だろうなと思うのです。

映画は、鉄拳という芸人のぱらぱらマンガを原作にしたドラマである。一人の女性サキがベッドに横たわるシーンに始まり、傍らに夫らしい男が立っている。物語はそこから16年前に戻る。

不良に絡まれている一人の高校生サキは、通りかかった大介に助けられる。一目ぼれのように付きまとうようになるサキのキャラクターが実に愛らしくかわいらしい。演じた清水富美加が抜群に魅力を発揮する。この女優さんちょっと注目である。

物語は、どんどん時が過ぎていく展開となり。やがて二人は結婚、出産、挫折、そして、サキの脳梗塞で倒れるまでが、ハイテンポに進む。物語の根幹になるのは、新婚の時に買った掛け時計。その振り子に、夫婦の寄り添う姿を暗示して、物語はサキと大介のよくあるけれども、誰もが身近に感じる夫婦物語を描いていくのです。

目を見張る秀逸な展開も演出もありません。クライマックスで、ほとんど無反応になったサキのために、新婚の時にかなえられなかった結婚式をしようと企画した大介が、交通事故で死ぬくだりも、ありきたりといえばそれまで。しかし、それでも、ここまでのストーリーの組み立てが、まさにぱらぱら漫画のように手際よく進んでくるから、思わず、自分のことのように感じて、涙ぐむのです。

エンドクレジットで流れるぱらぱら漫画に再度涙してしまいます。

本当に素朴な一本です。でも、何かを感じる。もう一度自分の毎日を振り返って、妻を夫を大切にしないとと感じ入る映画でした。