くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想[AFFLICTEDアフリクテッド」「特捜部Q 檻の中の

kurawan2015-03-27

「AFFLICTEDアフリクテッド」
いわゆるフェイクドキュメントで見せるくだらない映画か?、という感じのオープニングだったが、ストーリーの盛り上げがなかなかしっかりしていて、終盤にいくに従って、それなりの完成品になっていた。

とはいえ、嫌いなタイプの映画には変わりはない。

監督をしているデレクとクリフが、プライベートフィルムのごとく撮影していく展開になっている。デレクの脳に血管の奇形が見つかり、命が危うくなったので、二人で旅行に出かける。

パリの夜、デレクが、一人の女オードリーと関係を持つが、直後から、彼に異変が起こり始める。その症状は明らかに吸血鬼。

やがて、血に飢えたデレクは友人クリフも殺し、自殺もできないままに、毎夜ハンターとなる。しかし、ターゲットはいかにも小悪人の犯罪者達のような人物を殺していくエンディングで暗転。

終盤へのストーリーの変化がちょっとうまいなと思わせる一本だったが、映像は明らかなB級ホラーだった。


「特捜部Q 檻の中の女」
「ミレニアム ドラゴン・タトゥの女」のニコライ・アーセルが脚本を書いたサスペンスなので、ちょっと期待の一本。

さすがに脚本がしっかりしていると、それなりに見ることができる一本だった。ストーリーの構成がしっかりしているし、北欧らしい美しい映像も見ることができた。

映画は、三人の刑事が車の中で、これから踏み込もうとしている建物を見つめている。リーダーらしい刑事カールが、応援を待たずに踏み込もうといいだし、止めるのを聞かず三人で踏み込むと、男が撃たれて死んでいる。そして、次の瞬間、銃声とともに、カール達が狙撃される。そしてタイトル。このオープニングが実にシャープでいいのです。

そして、カールは一命を取り留めたが、一人は寝たきりに、もう一人は殉死。責任をとってカールは資料整理係のような特捜部Qに配置換えされる。そして、そこへ、倉庫で判押しを二年していたアラブ人のアサドが加わる。

カール達は、ある日、アサドが整理した写真から、5年前のミレーデ失踪事件に目が止まり、再捜査を勝手に始める。

物語の本編がこの捜査だが、カール達が捜査をする一方で、画面はフラッシュバックして、ミレーデが、ある男に監禁されるまでが描かれていく。つまり事件の真相の映像が交錯するという構成になっている。

カール達が、少しずつ真相に近づき、一方でミレーデが圧力室で拷問のような生活を強いられていく様が描かれる。

そして、物語は真相に近づいていくと二つが一つにまとまっていってラストシーンへ向かうのだ。

巧みに組み立てられた推理ドラマのおもしろさ、北欧映画らしい殺伐とした映像、そして、犯人がミレーデ監禁殺害の動機となる、幼い日の交通事故の場面で、横転した車のそばで雪が降り、真っ赤なコートのミレーデが、何事もないように降ってくる雪を仰いでいる場面を、重傷を負って車の中で見つめる犯人の姿のショットなど、実にファンタジックなシーンもあるのだ。

原作があるので、犯人の動機や、殺害計画などは変えようがないのだろうが、しっかりと、上質のサスペンスに組み直した脚本のうまさに感心する一本でした。おもしろかった。