くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「約束の地」

kurawan2015-07-24

正直な感想、退屈な映画だった。
四隅の角をとったスタンダード画面という変形はともかく、デジタルのカメラが非常に薄っぺらい画面を作り出している。そこで展開する物語は、ストーリーと呼ぶものか、シュールな映像世界と呼ぶべきか、取り留めもない展開が続き、ラストで、これまた不思議なシーンで締めくくられる。

監督はリサンドロ・アロンソ、撮影はティモ・サルミネンという人である。

水たまりに兵隊の人形が浮かんでいるシーンから映画が幕を開ける。一人の男が、水たまりの中でマスターベーションをしている。彼方に別の男。カットが変わり彼方の男のショットへ。この男が主人公ディネセン大尉である。

アルゼンチン政府軍によるパタゴニア先住民討伐隊であるらしい。ディネセンには娘インゲボルグがいて、ある日、野営地から一人の捕虜のような男と姿を消す。この娘を必死で捜すディネセンの姿が物語の中心を占める。

広大な湿地と岩の平原を、止めどなく一人で探し回るディネセン。美しい大地だが、デジタルの色彩が実に薄っぺらい。

行けども行けども見つからず、水たまりに一匹の犬を見つけ、その犬についていって、一人の老婆と知り合い、なにやら会話を交わし、やがて夜になり、ディネセンは眠る。

カットが変わると、お城のような家。そこで一人の少女がベッドで目覚め、召使いらしい男と会話の後、犬を散歩に湿地へ出かける。そこで兵隊の人形を拾うが、それを水の中に投げ捨ててエンディング。

魔術的な語り口と解説にはかかれているが、映画のほとんどが、ディネセンの探し回るシーンであり、終盤の女との会話から、少女のシーンへの幻想とも現実とも思えないジャンプカットの意味は、正直理解しがたかった。感覚で感じる映画なのだろうが、私の感性を越えていた気がします。