正直な感想、退屈な映画だった。
四隅の角をとったスタンダード画面という変形はともかく、デジタルのカメラが非常に薄っぺらい画面を作り出している。そこで展開する物語は、ストーリーと呼ぶものか、シュールな映像世界と呼ぶべきか、取り留めもない展開が続き、ラストで、これまた不思議なシーンで締めくくられる。
監督はリサンドロ・アロンソ、撮影はティモ・サルミネンという人である。
水たまりに兵隊の人形が浮かんでいるシーンから映画が幕を開ける。一人の男が、水たまりの中でマスターベーションをしている。彼方に別の男。カットが変わり彼方の男のショットへ。この男が主人公ディネセン大尉である。
アルゼンチン政府軍によるパタゴニア先住民討伐隊であるらしい。ディネセンには娘インゲボルグがいて、ある日、野営地から一人の捕虜のような男と姿を消す。この娘を必死で捜すディネセンの姿が物語の中心を占める。
広大な湿地と岩の平原を、止めどなく一人で探し回るディネセン。美しい大地だが、デジタルの色彩が実に薄っぺらい。
行けども行けども見つからず、水たまりに一匹の犬を見つけ、その犬についていって、一人の老婆と知り合い、なにやら会話を交わし、やがて夜になり、ディネセンは眠る。
カットが変わると、お城のような家。そこで一人の少女がベッドで目覚め、召使いらしい男と会話の後、犬を散歩に湿地へ出かける。そこで兵隊の人形を拾うが、それを水の中に投げ捨ててエンディング。
魔術的な語り口と解説にはかかれているが、映画のほとんどが、ディネセンの探し回るシーンであり、終盤の女との会話から、少女のシーンへの幻想とも現実とも思えないジャンプカットの意味は、正直理解しがたかった。感覚で感じる映画なのだろうが、私の感性を越えていた気がします。