くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「日本のいちばん長い日」(原田眞人監督版)「奪還者」

kurawan2015-08-11

「日本のいちばん長い日」(原田眞人監督版)
岡本喜八版の旧作を見た直後なので、比較するなという方が無理というものであるが、これはこれで、いい映画でした。

旧作出演の役者の顔ぶれともちろん遜色はありますが、それでも、決して引けを取らないほどに、しっかりと演じているし、意気込みが伝わってきます。

物語は、歴史の一ページの史実なので、それぞれのエピソードは旧作同様に全て詰め込まれています。ただ、今回の作品は、ややモダンに、そしてややスピード感が加えられている気がします。それは、やはり旧作が橋本忍の脚本の色が強すぎるためかもしれません。

さらに、旧作が作られた頃は、まだまだ昭和天皇も存命であり、スクリーンに具体的な人物として描きづらい部分もありましたが、今回は、その人物像を前面に出し、閣僚や軍人たちの苦悩の一端を担うという存在感もしっかり出しています。

一つ一つのエピソードにも手を抜くところなく、徹底的に演出することで、全体の緊張感が途切れないのは旧作同様ですが、時間軸を並行させて、交互に挿入しながらのクライマックスの演出は、やはり原田眞人監督の色です。

作品としてのクオリティも決して凡々としたものではなく、伝えるべきは伝え、観客の判断に任せるところは任せた点では、現代的な「日本のいちばん長い日」になったと思います。いい映画でした。


「奪還者」
アニマル・キングダム」のデビッド・ミショッド監督作品なので見に行きましたが、なんとも言えない退屈な映画でした。

物語が見えてこないのと、ストーリーにリズムがないので、しんどいのです。

映画は経済破綻して10年後のオーストラリアという設定ですが、そ意味が映画にそれほど重要かよくわからない。
一人の男が車から降りてくるところから映画が始まる。その男は一軒のバーらしい店に入る。カットが変わると、三人の男が車に乗っていて、弟を見殺しにして放ってきたという会話をしている。その直後、車が道脇に突っ込み止まってしまう。そして、傍にあった、最初に男が載っていた車に乗り換え逃げる。
それを見ていた男は、道端の車をどうにか動かし、後を追う。

ここまでのオープニングはちょっと面白い。

結局、引き離され、そこへ、重症の弟が追いつき、この弟レイと主人公のエリックが、レイの兄ヘンリーたちの元を目指すのが本編。要するに、なぜエリックが自分の車にこだわるのかというサスペンスでラストまで引っ張るのだが、途中、銃を手に入れるのに、妙な小人を撃ち殺したり、兵隊らしいのに捕まったりというエピソードが展開。

しかし、そのどれもに何の意味も見えないのです。強いて言えば、エリックとレイの心の絆ができるみたいな人間ドラマなのでしょう。

結局、ヘンリーのアジトについたものの、兄を撃てないレイは、兄に撃たれ、仲間もみんな撃たれて、エリック一人残る。そして、取り戻した車のトランクには、死んだ犬が載っていて、それを埋めてやるシーンでエンディング。

なんとなく、トランクの中に何か載ってるのだろうと予想もつくし、サスペンス色も弱い。ドラマ性も希薄で、もう一歩描きれていない映画でした。