「ギャラクシー街道」
思わせぶりに次々と登場する奇抜なキャラクターと行動で一気に引き込んでいくという導入部なのだが、いかにも、テンポが緩い。そのために、それぞれの個性が光ってこないためにさらに間延びする。監督は三谷幸喜だが、映画デビュー当時の勢いというか、ウィット溢れる作品の色は最近は完全に失せてしまった感じです。
宇宙にある一軒のバーガーショップで繰り広げられる宇宙人たちの群像劇。物語のテーマは、愛である。恋ではなくて愛である。
初めてのSEXを経験しようと、娼婦を求めてきた地球人。バーガーショップの奥さんに片思いの宇宙人。バーガーショップの夫の元カノが連れてくる夫。などなど、それぞれの愛の形がオリジナリティ溢れる展開で進むはずなのだが、全ての展開やセリフの先が読めてしまう。これはどうなんだろう。
大竹しのぶのキャラクターをもっと生かしたら面白かったとか、あのキャラクターをもっと遊べば面白かったとか、そういうのが散りばめられた形で、どれもが尻すぼみに流れるのは、ちょっと惜しいというか、三谷幸喜の入れ込み足りないところというか、どうもなんとも言えない映画だった。
セットが仰々しすぎるので、ストーリーの面白さに焦点が定まらないというのもある。オープニングのアニメがレトロ感で走るなら、全体のセットも、もうちょっと遊び心ある軽い感じがよかったのではないかな。ドル箱監督になり、お金を使えるようになったための失敗というかんじでした。
「ヴィジット」
M・ナイトシャマラン監督久々のホラーミステリーで、宣伝を見たときから鳴り物入りで楽しみにしていた映画ですが、今となっては普通のB級ホラーという感じの映画でした。ラストのどんでん返しも、今更目新しいものでもない。ちょっと期待はずれですね。
映画は、フェイクドキュメンタリー風に主人公の少年と少女が、自分たちのカメラで映画を撮るという映像が中心に展開する。これも、目新しさはないし、正直、この手の作り方は嫌いです。
母が出かけるので、祖父母の家に一週間行くことになるこの姉と弟。弟は異常な潔癖性という設定も、もちろんクライマックスで生きるとはいえこじつけに近い。
祖父母に会うのが初めての二人は、楽しみにしているし、祖父母の方も大歓迎。しかし、不気味な出来事はついた夜から始まる。
おばあちゃんが夜中に走り回るし、軒下で遊んでいたら追いかけてくるし普通じゃない。母親とはネットで連絡を取っているが、カメラの具合が悪い。おじいちゃんの話だと、おばあちゃんは病気だというが、そのおじいちゃんもどこかおかしい。。
姉弟は、真実を探るために夜中にカメラを仕掛けるが、普通に発見される。そして最後の夜が来る。昼、母に迎えに来るように言い、祖父母の姿をネットで見せるとなんと祖父母ではないという。つまり、ただの訪問者で、どう考えても悪人、異常者である。
夜、母が来るまでの時間稼ぎにゲームを始めるが、その途中、地下室に降りた姉は、本当の祖父母が殺されているのを発見。弟は潔癖性が災いして、祖父の前で金縛りになっている。姉は祖母に襲われるが、返り討ちにし、弟のところに戻り、二人でやっつけてエンディング。
まだこのあと何かがあるのかと思ったが、何もなくおわりました。いやぁ、ナイトシャマラン監督、腕が落ちましたねえ。こんな凡作しか作れなくなったかと思うと寂しいです。確かに、ヒッチコックよろしく、ジャンルにこだわった映画だけ発表してますが、今回は、少し出来が悪いような気がする。まるで、商業的な成功だけを狙った感が目立ちすぎるのが本当に残念です。