くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ベテラン」「シャークトパスvs狼鯨」「ベラbella」

kurawan2016-01-29

「ベテラン」
韓国映画は基本見ないのですが、あまりの時間が空いてしまったので見に行きました。監督は「ベルリンファイル」のリュ・スンワンです。

韓国映画という大きなマイナス点を除くと、結構面白かった。汚れた警察内部、正義感あふれる熱血刑事、悪徳実業家と、冷血漢のバカ後継者。典型的な娯楽映画の設定で、香港映画ではよく扱われるが、これが香港映画なら、もう少しドライでテンポ良く走るのですが、そこが韓国映画、どこか下品。

とはいえ、出だしのわけのわからない導入部から、ストーリーが、ある一人の労働者の偽装自殺に端を発したサスペンスというのが見えてくると、なかなか面白い。

しかも、クライマックスのカーチェイスシーンはハリウッド版とは一味違った工夫も見られるし、ドキドキ引き込まれてしまいました。

もちろん、駄作と評価しても良いような無駄なスローモーションや、私の嫌いな食べ物ネタ、低レベルの人物描写などの場面も多々あるとはいえ、徹底したハイスピードで走る娯楽思考は、見る価値があるのでは無いかと思います。

ちょっとよくできたテレビスペシャルという趣ながら、面白かったです。


シャークトパスvs狼鯨」
題名を聞くだけで、キワモノB級映画の匂い満載の一本。このシリーズは一度は見たかったので、今回実現。ロジャー・コーマンが製作総指揮だから、だいたいわかるというもの。監督はケヴィン・オニール。

サメとタコの合体した化け物が、なぜか海にいて、主人公らしい船の船長が船上葬儀をしているところに現れて、死体を食べてしまう。一方マッドサイエンティストが元野球選手の若返りのために、シャチのDNAを注入し、それで足りずに狼のDNAお注入して、わけのわからない生き物を作り出す。そして、なぜかシャークトパスと戦うことに。
とにかく、ショボい特撮と、わけのわからない適当な展開に途中、やたら眠くなってしまったが、なんの中身も無いバカバカしいほどの面白さで、結局、2つの怪物はあっけなくやっつけられて終わり。

何故とか、どうしてとかいう理屈はどこかにやってのただただ、やりたい放題に呆れる面白さだった。


「ベラ bella」
こちらも、未体験ゾーンの映画たちの一本。監督はジョシュ・ブロエッカー。

主人公ヤナは孤児院で暮らす寂しい女の子でした。ある日、幼い頃に父親からプレゼントされた女の子のぬいぐるみベラ。その人形は、しゃべるし、歩くし、人間と変わらないことができる奇跡のぬいぐるみでした。

「テッド」と同じ喋るぬいぐるみ映画ですが、こちらの方がストーリーやキャラクターにキレがあります。ファンタジックなおとぎ話のように始まるオープニングから、幸せそのもののヤナとウォルフガングのカップルのシーン、うって変わって、ドラッグを注射し、男とSEXする自堕落な人形ベラのカット。この導入部が実にうまい。

一時期話題になりテレビで売れっ子だったベラも、今は、借金まみれでお金も無い。とうとう、強制立ち退きで、今の家を追い出され行くところがなくなる。そこで、かつての友達ヤナのところへやってくる。ヤナは、何もかも完璧に計画する優しいウォルフガングとラブラブな日々で、間も無く婚約をする運びに。ところが、いかにもすれっからし女のベラの登場で、不穏な展開が始まる。

こうして、ベラの登場でドタバタ劇になるヤナとウォルフガングの姿をコミカルに描いていくのですが、突然眠ってしまう持病があるヤナの同僚や、ウォルフガングのジムでの友達ジルの存在など、周りのキャラクターがとっても楽しい。

結局、結婚に不安なヤナの揺れる心が、ちょっとしたトラブルを生み、ベラの尽力もあって、ハッピーエンドになる。
ヤナたちの幸せを確認して、しゃべることをやめるベラでエンディングかとおもわれるが、ベビーが生まれ、その横で寝ているベラが、ヤナたちが離れると突然喋り出してベビーを泣かせるエピローグまで、なかなか映画の作り方を知っているなと思う。

一見「テッド」の二番煎じのようだが、丁寧に組み立てられたキャラクター設定と、練られたセリフの数々に、ホロリと感動させられてしまう。今回の未体験ゾーンの映画たちの掘り出し物だったかもしれません。