くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「オリエント急行殺人事件」「ライフ・イズ・ミラクル」

kurawan2016-02-11

オリエント急行殺人事件
30年ぶりくらいに見直したが、やはり名作である。監督はシドニー・ルメット。なんと言ってもストーリー構成のバランスが実に素晴らしいのと、アルバート・フィニーの演技が抜群なのだ。

物語は有名なアガサ・クリスティのミステリー。雪で立ち往生したオリエント急行の中で起こる殺人事件を、たまたま乗り合わせた名探偵エルキュール・ポワロが謎解きをするというものだ。そして、真相は乗客全員が犯人だったこと、ポワロが唯一真犯人を警察に引き渡さなかったことで有名な名作である。

ローレン・バコールイングリッド・バーグマン、ジョン・ギールグッドなど老年を迎えた大俳優を出演させたいわゆるオールスター作品で、その豪華さもさることながら、冒頭のこの物語のきっかけになる幼女誘拐事件から、列車のスタート、疾走する列車内の人物紹介に続いて、後半延々と描かれる謎解きシーンと、その構成の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。

もちろん、それぞれの時間的なバランスの見事さは偶然も関わったことだと思うが、ポワロを演じたアルバート・フィニーの独特の演技が映画を際立たせるのである。

原作の素晴らしさと、映像としての完成度の見事さに脱帽するまさに名作という名が相応しい作品でした。


ライフ・イズ・ミラクル
エミール・クストリッツァ監督作品ですが、これもまたとっても素敵なファンタジックな秀作でした。とにかく、ロバやアヒル、猫などなど動物の使い方が絶妙のユーモアあふれるし、ベッドが空中を飛んでいく場面とか、とってもファンタジックで、自由奔放な感性に溢れている映像が素晴らしい。

ボスニアの田舎町、例によってクストリッツァ得意のどんちゃん騒ぎのカーニバルのようなシーンが冒頭を覆います。主人公ルカは地元の鉄道工夫ですが、今なお完成していない線路を使って様々なところを行き来しながら生活をしている。

失恋をしたロバが線路の上で自殺せんと佇んでいたり、アヒルがパーティの席で暴れていたり、猫が飛び込んできたり賑やかそのもののオープニング。しかしルカの妻が男を作って家出してしまい、さらにボスニア戦争の勃発で、息子が出征、さらに捕虜として捕まってしまう。

そんな中、相手国の女性サバーハを捕虜に捕まえ、ルカの息子と交換する計画を企てたルカの友人たちだが、なんと、捕まえたサバーハは美人で、すっかりルカと意気投合、恋に落ちてしまう。なんとも、俗っぽい話なのに、展開は至ってはファンタジック。爆弾が炸裂したり戦火に覆われてくるというのに悲壮感は全然ない。

ところが、ある日、妻が1人で帰ってきて、さらに、息子との捕虜交換が現実に迫ってきてクライマックス。無事捕虜交換となり、サバーハはルカと引き裂かれ相手国へ去ってしまう。

何もかも嫌になって、線路に横たわり自殺しようとするルカだが、列車をロバが停めてエンディング。もう最高のラストシーン、人生って本当に素敵で奇跡に満ちている。とっても楽しいなと思ってしまう。見事な映画でした。