くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ヘリオス 赤い諜報戦」「わたしの凡てを」

kurawan2016-02-10

ヘリオス 赤い諜報戦」
韓国が開発した超小型の核兵器DC-8がテロ組織ヘリオスの”使者”と呼ばれる組織に奪還される場面から映画が始まる。そして、その受け渡しが香港で行われるということで、韓国からも、香港からも、そして中国からもその取引を阻止すべく、敏腕スタッフがやって来るのだが、前半はその派手なアクションやカーチェイス、銃撃戦を見せてくれるが、後半は連続ドラマのダイジェストの様になって、結局、核兵器は取り戻されたわけでなく、ヘリオスとの戦いは始まったばかりだとエンディング。

韓国から行った諜報員は死んでしまうし、香港のスタッフも終盤殺され、実は”使者”のリーダーは、教授だったという真相も語られるが、なんのこともない。

本当に一本の映画として作られたのだろうかというラストシーンにあっけに囚われてしまった。

香港中国映画にこの手のがたまにあるが、そういう一本でした。


「わたしの凡てを」
前半はまだいいのですが、後半、どんどん話が逸脱していって暴走を始め支離滅裂になっていく。そして、ラストに至っては、ミスユニバースのコンテストのシーンが無理やり挿入される。

実際、この作品に出演している伊藤絹子がミスユニバースの第3位になったことをそのまま描いて終わるのだから、参ってしまう。市川崑監督失敗作で有名な一本らしいがまさにそうでした。

北海道の片田舎の一軒家で物語は始まる。妹の恋人を好きになり、その恋人が吹雪の中帰ってきたのをあえて家に入れずに凍死させてしまった姉のエピソードから展開していく。

姉は家出をして東京へ行き、妹は姉を探しに東京へ。そこで、知り合った男性と、その男性に恋心を抱く中小企業の社長の娘の話と、体の悪い日本画家の話、さらに会社を食い物にしている元華族も絡んできて、恋の話なのか、人間ドラマなのか混乱してくる。

細かいエピソードが次々と挿入され、時折市川崑らしい構図やカメラワークも見られるものの、細切れの様な物語が錯綜、終盤に至っては、冒頭に書いた様な形になっていく。

即興でとっていったのではないかとさえ思ってしまう一本。ただ、懐かしい大阪の景色が見られたのは楽しいひと時でした。