「細雪」(市川崑監督フィルム版)
先日、デジタルマスター版を見たところなのですが、フィルム版がどれくらい劣化しているのかを確認の意味で見直しました。
なるほど、全体にブルーがかかってしまい、露出オーバーギリギリで撮影された結果の劣化がまざまざと確認してしまいました。
デジタルマスターする時点で、すでに公開当時の色彩は戻らないとかかれていましたが、本当に残念です。フィルム版の元版が美しければ素晴らしいだろうにと悔やまれます。ただ、公開当時に見れたことを幸せに思わないといけません。
とはいえ、2時間20分、全くダレることなく、スクリーンに引きつけてしまう演出力は素晴らしいです。四人の女優の競演も目を見張るものがあるし、なんといっても、そのカットの切り返しのリズム感が驚くほど見事。これが傑作でなくてなんだろうと思います。
色が再現されれば、ただそれだけが悔やまれる映画でした。