「セーラー服と機関銃 卒業」
「セーラー服と機関銃」のその後の物語。監督は前田弘二。
期待はしていなかったとはいえ、とにかく退屈なほどにテンポが悪い。ただ橋本環奈というちょっと可愛い女の子を主役にしての企画程度の一本だった。脇役もいまひとつ面白くないし、映像も幼稚なスローモーション。オリジナル作品へのオマージュだろうか、手持ちカメラと長回しを多用するとはいえ、陳腐な出来栄えを助長するだけでした。
物語は「セーラー服と機関銃」の後日譚。今や解散した目高組はカフェを経営している。ライバルの浜口組とはバランスを取っているはずだったが、ここに如何にもな悪徳実業家と政治家がやってきて、グチャグチャにする。そこで堪忍袋の尾が切れた星泉は再び目高組を起こし、乗り込むというもの。
安藤忠信の悪役もしょぼいし、浜口組幹部の長谷川博己もキャラクターが弱い。しかも武田鉄矢以下星泉の仲間もいかにも弱いので、とにかく映画が薄っぺらくなった。
これで橋本環奈が薬師丸ひろ子ほどのカリスマ性があれば良いのだが、それほどのオーラもなく、前田弘二の演出もありきたりというのがとにかく長く感じてしまった。期待はしてなかったとは言っても寂しい作品でした。
「これが私の人生設計」
ちょっと変わった映画ですが、ハッピーエンドでほのぼの終わるラストシーンが素敵な一本でした。監督はリッカルド・ミラーニです。
幼い頃から天才的な建築の才能を見せる主人公セレーナのシーンをハイテンポな映像でポンポンと描いていく。やがて成人になり、世界中をまたにかけての大活躍をするのだが、故郷が恋しくなりイタリアに戻る。ところが、極端な男尊女卑とゲイや妊婦に対する封建的な考えから、まともな仕事に就けず、カフェでバイトをしながら生活をし始める。
そんなある日、集合住宅の再開発の公募を見つけた彼女は、たまたま知り合ったカフェのオーナーフランチェスコを上司に見立てて応募する。ところが彼はゲイだった。
こうして、一風変わったドタバタコメディが展開。セレーナが持ち込んだ建築事務所の代表は何もかもに差別的で、社員たちはクビにならないようにそれぞれのプライベートを隠して仕事していた。展開は例によって、セレーナが最後に一括して、何もかもがハッピーエンドになるのですが、フランチェスコの息子とのエピソードや、会社の同僚とのエピソードなどを交え、ちょっとハートフルに展開する様は、なかなか楽しいのです。
ともすると、ゲイであることがばれそうになるフランチェスコや、 やたらうるさいセレーナの叔母さんなどキャラクターも個性的でユーモア満点。
決して、秀作とまではいかないですが、見て楽しい一本という映画だった気がします。