くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「獣は月夜に夢を見る」「シェーン」(デジタルリマスター版)

kurawan2016-04-21

「獣は月夜に夢を見る」
「ぼくのエリ200歳の少女」と似たような題材の映画だろうと思ってみたが、確かに、パターンは似ているが、ちょっと違う。正直、普通のホラーファンタジーという感じの一本でした。監督はコンス・アレクサンダー・アーンビーという人です。

いかにも寒々しい北欧の風景をバックにタイトルが終わると、主人公マリーが医師の診察を受けている。胸元に何か影のようなものがあるようだが、特に心配はないと言われます一ヶ月後にまた来るように言われる。家に帰ると、車椅子に乗った母と父親がいる。

魚の解体場で働くようになったマリーだが、どこか周りの視線がよそよそしい。しかも、いたずらかいじめかわからないような仕打ちを時折受ける。しかし、ここに搬入に来ているダニエルという若者とマリーは親しくなる。

家に帰ると、胸の隅に毛が生えていることに気がつくマリー。どうやら、母親と同じ何かの病らしく、体に毛が生えてくるようである。母の往診に来た医師が持ってきた書類を盗み、その中身を読んで、その謎が明らかになるのだが、そのあたりの描写をあまり映像に見せないので、見ている側は、ただ推測をするのみである。

どうやら、狼女のごとき存在に変わっていく病らしく、母親は、医師が処方する注射と薬でその発作を抑えているようだ。村人たちはそのことも知っている。

次第に兆候が明らかになり始めるマリーの姿を見た父は、ある日、マリーの寝ている時に抑え込んで、無理に注射をしようとする。ところが飛び込んできた何者かに医師は殺される。飛び込んできたのはどうやら母親らしい。

医師を庭に埋めるが、村人はすでにマリーたちを疑い、ある日、マリーが家に帰ると、母親は浴槽に沈んで死んでいた。誰かに殺されたのか事故かわからないまま葬儀を終えた頃にはマリーはさらに変貌していく。

ある夜、仕事の帰り、村の若者たちに追いかけられ、つい一人を殺してしまうマリー。そんなマリーを助けるためダニエルは逃げようという。ところが、待ち合わせのところで、村の若者に捕まり船に乗せられるマリー。マリーが連れ去れれたのを知ったダニエルが後をつけ船に乗る。沖に出て、マリーを殺す計画なのだが、目を覚ましたマリーは一人また一人と若者たちを殺し、とうとうダニエルと二人きりになり何処ともなく流れて行ってエンディング。

ストーリー構成や展開は「ぼくのエリ200歳の少女」に酷似しているが、どこか映像にスタイリッシュな美しさとロマンが見当たらないのがちょっと残念。

映画の面白さもそこそこという感じで、普通のホラーファンタジーという感想以上にはならなかった感じです。


「シェーン」(デジタルリマスター版)
語り継がれる名作というのは、好む好まざるかかわらず、良いものですね。初めて見てから何年たったか忘れましたが、かなりの場面を忘れていました。さらに、今回、デジタルマスターされて、こんなに美しい映画だったかと改めて息を飲んでしまいました。そういえば、アカデミー賞の撮影賞なんですよね。監督はジョージ・スティーブンス。

彼方に広がる美しい山並み、麓あたりには雲がかかり、独特の美しい景色が広がる。少年は優しい母とたくましい父と暮らしている。与えられたおもちゃのライフルで遊びにきた鹿を狙っている。もちろんライフルに玉は入っていない。あくまでおもちゃで遊ばすために父が与えたものだ。ところが、少年は彼方からやってくる一人の男に気がつく。颯爽と歩いているわけでもなく、ゆっくりと、しかしどこかもの悲しげな面持ちの男。腰にはキラキラと光る拳銃が見えている。少年はこの男に、理想のヒーロー像を見つける。彼こそがシェーンだった。

抒情あふれるシーンからこの映画は幕をあける。一見、おとなしい風貌ながら、どこかなんとも言えない危険な空気を感じさせるシェーンに、少年の父ジョーは、最初はこの地を追い出そうとやってくるライカーの手下だと勘違いする。。しかし、そこへやってきたライカーたちとの会話で仲間ではないと判明、そのまま居ついたシェーンとジョーたち家族は打ち解けながら生活を始める。シェーンに憧れを抱く少年のジョーイは何かにつけ、シェーンに近づくさらに、母もなぜか、男臭さにシェーンに惹かれ始めるのだ。

イカーたちの嫌がらせに、次々とこの地を離れ要素する開拓者たち。そんな彼らを励ましながら、対抗していくジョー

しかし、ジョーたちを追い出したいライカーは、殺し屋ウィルソンを雇う。そして、ジョーの仲間が挑発されて殺されたことをきっかけに物語はクライマックスへ。

イカーたちの話し合いの呼びかけに向かおうとするジョーを止めて、シェーンは、ジョーたち家族を守るため一人ライカーの元へ向かう。その後を必死で追いかけるジョーイ。そして、酒場で待ち受けるウィルソンを撃ち、あっという間にライカーたちを倒すシェーン。その様子をじっと見つめるジョーイ。

シェーンに、一緒に馬に乗って家に帰りたいというがシェーンは断り、一人の山の彼方に去っていく。ジョーイの叫ぶ声がこだまする「シェーン!カムバック!」

ラストシーンの画面があんなに暗かったかなと思わなくもないのですが、やはり名作は細かいシーンが実にうまく撮られていると思います。語り継がれる名作を堪能できたような気がします。