「ファインディング・ドリー」
前作の「ファインディング・ニモ」は見ていないのですが、続編とはいえ、十分楽しめました。さすがにディズニーのエンターテイメントとしての見せ方は実にうまいと思います。監督はアンドリュー・スタントンです。
ほんのさっきのことも忘れてしまう主人公のドリーが両親と遊んでいる。まだまだ幼いドリー、しかし、ふとしたことで両親とはぐれ、ドリーはどんどん成長していく。それでも、ひたすら両親を追い求めるドリー、そこにニモの親子が加わり、ドリーの冒険が始まるという展開になる。
CGとはいえ美しく描かれた3Dアニメがまず目をみはる。海洋研究所に捕まり、そこで様々な仲間と出会いながら、両親を追い求めるドリーの冒険だが、さすがにストーリーは単調なので、後半は少ししんどい。それでも、ディズニー持ち前の走り回るようなスピード感あふれる展開とリズムでどんどん先に進んでいく。
やがて、両親のいた痕跡を見つけ、さらにそこにたどり着くヒントも見つけ、突き進んでいく。困難や障害にぶつかるたびに必死で知恵を巡らすドリーは、やがて、忘れるという病気も何処へやらという流れになる。
トラックに乗せられても、様々な仲間が知恵を働かせて助け、最後は両親と会ってハッピーエンド。ディズニーなのだからこれで良いというものだが、本当に感心するほどに見せ方がうまいのである。これがディズニーの真骨頂ですね。ただ、先日見た「ズートピア」の方が作品としては格段に上だった気がします。
「弥次喜多 岡崎猫騒動」
お気楽なサイレント映画で、弥次さん喜多さんが岡崎の化け猫騒動に巻き込まれるというお話らしい。正直、よくわかっていないかもしれない。監督は吉村操。
とにかく、着ぐるみの化け猫が出てくるのだが、着ぐるみなので、普通に人が入っているおふざけなのか、真面目に化け猫として描写されているのか、今見ればわからない。でも、そのコミカルさが楽しくて、ある意味あっけにとられる面白さのある一本でした。
「何が彼女をさうさせたか」
ロシアで発見された幻の傑作と呼ばれる一本で、導入部とクライマックスのフィルムが完全に消失していて、字幕でカバーするという代物。監督は鈴木重吉。なんとキネマ旬報一位である。
物語は、父親が弟に託した一人の娘が、波乱の人生を送るというもの。娘を弟の元に行かせる途中で、俥引きのおじさんに出会うところからフィルムがある。どうやら娘の父親は自殺したらしいということで、預けられた家は子沢山で、適当にこき使われた挙句曲芸団に売り飛ばされる娘。
そこを逃げ出したものの、一緒に逃げた青年は事故にあい、娘は養育院へ。そこから県会議員の女中に雇われるが、嫌われて追い返され、今度は琵琶の師匠の家に行く。そこでかつての青年と再会し、二人で暮らすようになるが、職を失い、どん底になった二人は心中。しかし娘は助かり、わけのわからない教会の施設に入れられる。
そこもまた、園長が悪人でと、ここまでフィルムがあり、あとは、娘が教会に火を放ち焼け落ちるクライマックスは字幕だけというエンディング。
1930年という製作年を考えると、しっかりとした画面作りやカメラワークも見られる一本で、全体が見られないのは残念ですが、それなりのクオリティがあった作品であることは納得がいく作品です。波乱万丈の人生という荒唐無稽な作品でした。