くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ピートと秘密の友達」「土竜の唄 香港狂騒曲」「白い指の

kurawan2016-12-27

ピートと秘密の友達
典型的なディズニー映画で、今更珍しくもないCGで作られたドラゴンと少年ピートの友情物語に例によって大人の欲が絡んで来るという展開。まぁ、出来栄えも大したことがないのだが、ロバート・レッドフォードのような大物が抑えの役で出てるあたりは、アメリカ映画界の余裕でしょうね。監督はデビッド・ロウリーです。

両親と森にドライブに出かけた主人公のピートの映像から映画が始まる。突然飛び出してきたシカを避けたために車は大事故を起こし、両親は即死、真っ暗な森に一人残されたのが5歳のピート。そこに現れたのが姿を透明にすることもできる森に住むドラゴン。そして6年が経って本編が始まる。

森を伐採する欲得だけの男と、森林を守ろうとするグレースという女性とその娘、恋人。たまたま森の中でピートを見つけ、さらにドラゴンを見つけたために、生け捕ろうとする人間の欲がむき出しになるものの、結局、森に帰り、ピートも人間の世界に住むことになるという切ないラスト。

エピローグで森の奥にひっそり暮らすドラゴンたちに再会するピートたちの映像でエンディング。

これという秀でた場面も、見るべきシーンも、練られたストーリーの面白さもない普通の映画。まぁディズニーは未だに大人になれないが、それがディズニーなのですから、守るべき色なんですよね。


土竜の唄 香港狂騒曲」
さすがに脚本宮藤官九郎、監督三池崇史となれば、止まるところを知らずハチャメチャな展開になる。誰も抑えないから行き着くままに、好き勝手な映像が展開する。しかし、それでも、出来栄えのいいものはあるのですが、今回はただその場限りのノリで物語が展開した感があり、いまいち面白くなかったのはファンとしては残念でした。

前作の続きの物語で、潜入捜査官の主人公がなんとかヤクザの大親分轟を逮捕するべく奔走する。当然下品なエロシーンと下ネタ満載、今人気の本田翼にも容赦ない演出が入るのは三池崇史らしい。

実は日本に中国マフィアが勢力を伸ばしていて、その資金源は美女オークションというもので、轟の娘も拉致され、しかも中国マフィアと組んでいるのがかつての幹部で、さらに清廉潔白とエリートコースを進んできた警察エリートが実は黒幕だったという真相で、とにかくハチャメチャに展開して行く。

クライマックスは混沌んとしてしまい、なんでもありとか呆れるとかいうより、いつものバカバカしいユーモアが全部滑ってるし、最近の三池作品としては一番出来が悪かった感じでした。


「白い指の戯れ」
村川透監督のデビュー作をようやく見ることができた。日活ロマンポルノの一本ですが、みずみずしいほどの若者たちの姿が、ストレートに描かれているなかなかの一本、いい映画でした。伊佐山ひろ子のデビュー作でもあります。

街でたまたま知り合った一人の若者と親しくなった主人公の女性。実はその若者は窃盗の常習犯だった。
しかし、お互いに惹かれ愛体を合わすが、間も無く男は捕まってしまう。しばらく一人だった彼女の前に現れたのが刑務所で知り合いだったという男。いつの間にか女も惹かれ、愛し合うようになるが、彼はスリだった。

小悪党のようなことを繰り返す若者と一人の女性の青春物語という空気の作品で、罪悪感より、その日の生き方を見出そうと必死でもがく当時の若者たちの姿が、本当にピュアに語られて行く。

何気なく画面に取り入れられる当時の世相のビラや看板も面白いし、スリの仲間でお風呂で全裸で踊り回るシーンが実に良い。デビュー作らしい若さあふれる作品で、のちの無国籍アクションに進む村川透の片鱗が伺える良作でした。